5S活動から現場活動に発展させるヒント集です

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ものづくり品質を楽に楽しく向上させる方法
【2】QC7つ道具で品質向上できるのか
1.QC7つ道具とは
QC活動であるQCサークルで、なくてはならないものの一つがQC7つ道具です。もう一つは、デミング博士が伝えたPDCAサイクルだと思います。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4段階を繰り返すことによって、継続的に改善を行う手法です。この2つの手法を使わずにQCサークルの活動はできないと言えるぐらい重要な手法です。

QC7つ道具は、現場で起きている事実を視覚的に表現し、相手に的確に伝えることができる手法です。QC7つ道具には、QC7つ道具と新QC7つ道具があります。新しいとか古いという分類ではなく使い道が異なります。QC7つ道具は、数値データを見える形にする道具であるのに対し、新QC7つ道具は、主に言葉で表すデータ(言語データ)を見える形にして情報を得るための道具です。多くの道具があるため「弁慶の七つ道具」にちなんで名付けられたそうです。そのため厳密な7つではなく、QC7つ道具は8つ、新QC7つ道具は7つの手法があります。

QCが日本に導入された当初は主に製造現場だったので、数値データを収集し問題を解決するニーズが高く、QC7つ道具がよく用いられてきました。しかし、全社的品質活動の広がりによって、製造部門以外の研究開発、事務・管理など様々な部門、あるいは製造業以外の多くの業種の会社など、数値データではなく言語データを使う業種や会社で品質管理活動が行われるようになり、従来製造部門で活用していた手法だけでは、データを見える形にすることが困難になってきました。そこで、言語データを見える形にする方法として開発されたのが新QC7つ道具なのです。

新QC7つ道具の特徴は、①主に言語データを整理する方法 ②発想を導く方法 ③計画を充実する方法 ④全関係者が協力して、問題解決を組織的・体系的に進めるのに役立つ方法です。最近のQCサークルの活動では、新QC7つ道具を上手く使用しているのを見かけます。

2.QC7つ道具の解説
QC7つ道具と新QC7つ道具の特徴と使い方を解説します。それぞれの特徴を理解して、実践したい内容に合った道具を使用することが重要です

<QC7つ道具>
(1)チェックシート:データを正確に簡単に利用しやすい形で取ります。
・あらかじめチェックする項目を決めておき、その内容を簡単にチェックできる表または図のことです。
(2)グラフ:データを見える形にする道具です。
・現場などで得られたデータを一目で分かるように図形化します。
(3)パレート図:重点指向して目標を決定します。
・影響の度合いや問題の大きさをグラフ化し、重要事項が見えるようにする道具で問題点の絞込みや重点志向に活用します。
(4)ヒストグラム:全体の分布の姿を見る道具です。
・計量値データのばらつき状態や分布の形を見たい時に有効です。
(5)管理図:データの時間的変化を調べる道具です。
・計量値データの平均やばらつき、不良の出方などを時系列的に把握できます。
(6)散布図:対になった2つの特性の間の関係を見る道具です。
・一方の特性が大きくなったら対になる特性がどう変動するかを見ることができ、二つの特性間の関係の有無が分かります。
(7)特性要因図:問題が発生していると思われる要因を整理する道具です。
・たくさんあると思われる問題発生の要因を、言葉(言語データ)で表し、系統的に整理できます。
(8)層別:データを要因別にグループ分けする道具です。
・時間、場所、種類・機種や症状などのデータで分けることにより、品質に影響する原因と影響度を把握することができます。

<新QC7つ道具>
(1)系統図法:目的を達成するための対策の優先順位を決めたい時に有効です。
・ある目的または、結果に対しそれに到達するための手段や方策を系統的に書き出し目的達成のためにやるべき多くのことを一目でわかるようにする道具です。
(2)連関図法:課題に対する様々な因果関係を整理したい時に有効です。
・ある一つの現象、または結果に対し、考えられる原因、要因が複雑に絡んでいるとき、考えられる要因を全て書き出して、原因から結果への関係を矢印で結び、要因間の相互関係を見えるようにする道具です。
(3)マトリックス図法:複数要因と複数結果が相互に関係している問題を整理したい時に有効です。
・多くの要因系と多くの結果系がそれぞれ相互に関係しあっているような時、これを2元表の形に書いて、その交点にマークを入れていき、 相互の関係を全体として一目で分かるようにする道具です。
(4)アローダイアグラム:計画通りに進捗したい時に有効です。
・日程計画立案のため、プロジェクトを進めていくために必要な作業の相互関係を○→○印で表し、日程上最も苦しくなるところに注目して、進捗管理をしていく道具です。
(5)PDPC法:望ましい結果が得られるよう、よどみなく活動し期待する効果を得たい時に有効です。
・事態の進展に対して事前に考えられる様々な結果を予測し、それぞれができるだけ望ましい結果になりそうな対策案を出し、抜けのないようにあらかじめ手を打ち、問題の進展とともに先を予測し修正しながら結果を望ましい方向に導いていく道具です。
(6)親和図法:大きなテーマについて全体像が見えるようにしたい時に有効です。
・ある大きなテーマについて、メンバーが感じている様々なことを「ことば」で表し、その中で親和性のあるものをまとめていって、全体像が見えるようにする道具です。
(7)マトリックスデータ解析法:複数の特性を2つにまとめて説明したい時に有効です。
・マトリックス(行列)にまとめた多くの数値データを2次元平面状(X-Y平面図)に展開し、主要な問題や原因を分かりやすく定める道具です。

3.QC7つ道具の限界
QC7つ道具は、非常に素晴らしい道具です。QCサークルでは、この手法を上手く活用して品質向上を実現しています。現場のメンバーが、多くの中から有効な道具を選んだ上で、分析を行って問題点を見出しています。QCサークル大会では、この分析から改善のストーリーをドラマチックに上手く説明してくれます。小さな「プロジェクトX」のような感じです。

でも、QCサークル大会で入賞したQCサークルの現場で一緒に改善活動をするようになり、二つの疑問を持ちました。一つは、QC7つ道具で分析した内容が、品質改善に本当に活用されているのかということです。QC7つ道具はあくまでも分析のツールであり問題点は見つかるのですが、的確な改善を行わないと品質は良くなりません。実際にはQC7つ道具だけでは改善案の立案が難しいため、QCサークルメンバーの上司や品質管理部門がサポートすることにより、改善案を立案しているのをよく見かけました。そのため、QCサークル大会の発表を聞いていると、どうも、QC7つ道具の分析結果から改善アイデアを見出しているように感じなかったのです。

それは、二つ目の疑問で明らかになりました。国内ではバブル崩壊後、多品種少量生産が急速に拡大します。変種変量生産にまで進んでいる業種もあります。この多品種少量生産がネックだったのです。現場で分析作業を見ていると、品質データを取りはじめるのですが、すぐに品種切り替えがはじまってしまうのです。データは取れますが、多くの生産品種が混在したデータになってしまいます。生産品種が変われば、設計も部品も異なるケースがほとんどです。月間では数十件の不良データがあったとしても、母集団が何百品種の生産データであるため非常に多くの不良要因が混在することになります。そのため、ある特定品種の不良要因を見つけようとしても、真の要因を見出すことが難しいことが多いのです。さらに、次月の品種構成が変わると不良要因も大きく変化してしまうのです。

これでは、どうすれば品質向上が実現できるのか悩んでしまいます。変化の大きな現代に適した品質向上の方法が重要なのです。少しでも少ないパワーで実現できる方法を考えていきたいと思います。

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