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【1】大企業病で姿を消したOJT 
私は、大企業に34年間、勤務していました。
1981年に入社したので、製造業が生産の自動化を活発に行っていた頃です。
産業用ロボットを用いたFA(ファクトリーオートメーション)の時代です。

とにかく景気が良く、今から思えば夢のような良い時代でした。
毎年、多くの新入社員が入社し、先輩からOJTで仕事を教えてもらいました。
OJTとは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングのことで、職場で先輩が仕事を教えることです。

海外の会社では、「仕事を教えるなんてクレイジー」であり、海外では出来ない日本の技(わざ)でした。
どんどん、新入社員は仕事ができるようになり、日本の強さが確立できたのです。
OJTの反対は、OFF-JT、つまり、集合研修です。
集合研修だけでは、多くの職場の多様なニーズに答える人材の育成が難しいのです。
せいぜい、共通の技術や技能、断片的な管理技術の習得に限られています。

しかし、1991年のバブル崩壊後、大きく変化しました。
まず、大不景気のため、新入社員の採用が激減しました。
年齢構成が崩れ、10歳以上も年齢が離れてしまった職場もありました。
つまり、当時の最年少の人は10年以上、下っ端のままで、指導する人がいない状態だったのです。

さらに、工場などの現場では、請負をはじめとする非正規社員化が急増しました。
50%を超す非正規社員が勤務する工場もありました。
請負の場合、生産場所を区分する必要があるので、自社工場なのか他社なのかわからなくなりました。
申請しなければ、立ち入ることも出来ないし、直接指示もできません。
もちろん、教えることもできません。請負の責任者に教えるだけです。

その結果、日本のお家芸だったOJTが、私の勤務していた会社では、ほとんど消滅してしまいました。
私は、大企業病の一つの症状だと感じました。
ちなみに、大企業病の他の症状は、信賞必罰がない、現場現物がない、減点法での評価、成果主義の導入などです。
とにかく、社員全体の元気が少しずつ失われていく、極めて恐ろしい病気で、速効性のある薬はないと思います。
さらに恐ろしいことに、大企業だけでなく、中小企業にも感染が広がったように感じました。

遅効性ですが、唯一の薬は「人材育成」なのです。
しかし、私の勤務していた会社では、この人材育成も失われました。
人材育成は本社管轄の人材育成部門が行っていました。
本社管理部門のアウトソーシング化の中で、人材育成部門も別カンパニーになり独立採算を要求されたのです。

すると、数年でコアとなっていた基礎的な技術や技能の研修は姿を消し、トピックス性の高い研修ばかりになってしまいました。
つまり、研修や教育は行うけど、儲からない時間のかかる「人材育成」はしなくなったということです。
私の勤務して会社では、所属の人事部門も人材育成をしなくなったので、職場で行うしか方法はなくなったのです。
しかし、職場はOJTができない状態になっていたので、全社として人材育成が弱体化してしまいました。

非常に良くない状況なのですが、今からどうすれば良いのでしょうか?
 
     
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