お疲れさまです。現場改善コーチの来嶋です。
あなたの5S改善は、順調でしょうか?
少しでも改善を進めて、楽に楽しくなって欲しいと願っています。
メールマガジン「楽々改善ストリート3」第12号をお届けします。
桜が咲きました。東京は、満開だそうです。
何か春になるとワクワクして、活動的になりますね。
「現場改善を楽しむ」の12回目は、トヨタ感あふれる「多工程持ち」についてお伝えします。
変動の大きな時代において、生産性を飛躍的に高めることが可能な考え方です。
今、大きな問題になってきている「技能伝承」にも大きな効果を出せます。
だんだん実現することが難しくなっていきますが、考え方を理解することは重要です。
まずは、TPSの理解からスタートし、すぐに実践できるようにしたいと考えています。
次の手順で進めて下されば、嬉しいです。
(1)「現場改善を楽しむ」を読んで、概要を理解してください。
(2)実践すべき内容を、説明します。1週間で、ゆっくり実践してください。
(3)悩むことが発生したら、下記のメールアドレスにご連絡ください。ヒントをお送りします。
進めていく中での「悩んだこと」はじめ、ご意見・ご提案をお待ちしています。
※HPからご登録頂いた方、名刺やメールを頂きました方に発信させて頂いています。
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誰にも聞けない「トヨタ生産方式」
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<11章>多工程持ちとは?
コンベアラインは非常に効率の良い方式なのですが、もっとも大きな欠点があります。
それは、人の能力の向上を止めてしまうことだったのです。
そのため、単純なコンベアラインは、ほぼ20世紀で消滅したと感じます。
コンベアの作業者は、「単能工」だったのです。
コンベアに限らず、機械も一人一台持ちが原点でした。
一人が一台の機械を担当して作業を行っていました。コンベアラインだと、一つの工程を担当していたのです。
高度成長の時代に、どんどん生産を拡大する時には、人も急増するため訓練が追い付かなくなりました。
多くの作業者が単能工なので、コンベアラインは有効だったのです。
さすがに、一人一台持ちでは効率が悪いので、一人で「多台持ち」になりました。
この場合は、同じ種類の機械を複数台を担当するということです。
工場のレイアウトも、同じタイプの機械を並べるジョブショップ型になります。
しかし、TPSでは生産の流れを重視しているので、工程の順に機械を並べて生産しています。
例えば、旋盤、フライス盤、ボール盤という感じで、フローショップ型といいます。
すると、作業者は旋盤もフライス盤もボール盤も使える必要があります。
これを「多工程持ち」といい、作業者は「多能工」でなければなりません。
加工に必要な複数の工程を、一人で仕上げるのです。セル生産ラインも、多能工でないと実現できません。
一つの工程や同じ機械で繰り返し、一つの作業を行う方が効率が良いと考えていました。
実際に測定を行っても、そのような結果が出ていました。これが、20世紀の錯覚だったのです。
多品種少量生産が要求されるようになると、単能工ばかりの機械加工やコンベアラインでは、生産効率が大きくダウンしたのです。
半信半疑で多工程持ちにすると、一瞬は生産性が低下したものの、逆転してしまったのです。
その要因は、人の能力の伸長と、作業を工夫する改善の結果だったのです。
色々な機械を使ったり、多くの工程を担当することにより、やりがい感と改善の可能性が高まりました。
単能工やコンベアでは決して味わえなかった「工夫すれば生産を増やすことができる」という達成感を感じることができるようになったのです。
複数の機械や工程を担当するようになって、作業にメリハリをつけることができるようになりました。
簡単な作業は早く、注意の必要な作業は丁寧にできるようになったのです。
さらに、1台の機械が加工している間に、他の機械へのワークの脱着ができるようになり、加工待ちのムダが激減することができました。
これは、複数の機械や工程を担当しなければ絶対にできなかったのです。
ほとんどの工場では、バブル崩壊後に多能工化を推進していますが、トヨタは1960年代にスタートしているそうです。
実にスゴイことです。
多能工化を推進するためには、「多能工教育」が必須です。
毎日の生産を行いながらの多能工教育の推進は、綿密な計画が必要です。
はじめての作業をいくつも経験することになるので、必ず生産性がダウンするためです。
「多能工マップ」というスキルの星取り表、兼、スキル育成計画表を作成して、じっくり取り組むことが重要です。
現在のように、人材のフロー化が進んでいる工場では、細心の注意が必要です。
全ての人材を多能工化することは限界があるため、多能工と単能工の複線化が必要だと感じます。
工場に合った多能工化教育のプログラムを立案、実施することが重要なのです。
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さあ、実践してみよう
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変動の大きな時代において、生産性を飛躍的に高める「多工程持ち」について検討してみましょう。
一人で多くの工程の作業ができるようになるには、スキル育成計画がもっとも重要です。
◇現状での多能工(スキル)マップを作成してみましょう。
・縦軸に人、横軸にスキルを書きます。
最初の段階では、スキルは重要工程に絞ると書きやすいでしょう。
・TPSでは5段階で示しますが、最初は3段階程度でも良いと思います。徐々に進化させましょう。
・評価基準の例としては次の5段階が良いでしょう。
0.経験なし 1.一人でできる 2.予定通りにできる 3.異常処理ができる 4.指導、改善ができる
◇スキル育成計画表を作成しましょう。
・多能工(スキル)マップの中で、各人が次にチャレンジするスキルを決めます。
・いつまでに、どのようにスキルを習得するか計画を立案しましょう。
◇事務作業では、スキルの定義が少しイメージが湧きにくいですが、ほぼ同じようにできます。
・現状での多能工(スキル)マップを作成してみましょう。
・スキル育成計画表を作成しましょう。
さあ、ゆっくり実践してみましょう!
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