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「楽々改善ストリート3」 現場改善を楽しむ
2018.2.20 <第7号>

お疲れさまです。現場改善コーチの来嶋です。
あなたの5S改善は、順調でしょうか?
少しでも改善を進めて、楽に楽しくなって欲しいと願っています。

メールマガジン「楽々改善ストリート3」第7号をお届けします。

大きなセミナーで5S活動と現場改善の話しをさせて頂きました。
テーマは「マンネリ化した改善活動を打破せよ! 現場改善活動 再活性化の進め方」です。
5Sからスタートして現場改善を継続的に行うヒントを説明しました。
これは、私の現場改善20年間の集大成であり、主催者に大変感謝しています。

「現場改善を楽しむ」の7回目は、トヨタ生産方式独特の呼び方である「省人化から少人化」についてお伝えします。
一般的には「省人化」なのですが、TPSでは「目のある省人化」といって、これではダメだと教えられています。
やはり、目のない「少人化」でなければならないのです。
そのまま実現することは難しいですが、考え方を理解することは重要です。

まずは、TPSの理解からはじめますが、実際に実践できるようにしていきたいと思っています。
次の手順で進めて下されば、嬉しいです。

(1)「現場改善を楽しむ」を読んで、概要を理解してください。
(2)実践すべき内容を、説明します。1週間で、ゆっくり実践してください。
(3)悩むことが発生したら、下記のメールアドレスにご連絡ください。ヒントをお送りします。

進めていく中での「悩んだこと」はじめ、ご意見・ご提案をお待ちしています。

※HPからご登録頂いた方、名刺やメールを頂きました方に発信させて頂いています。

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誰にも聞けない「トヨタ生産方式」
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<6章>省人化から少人化とは?

「省人化」とは、現状よりも人を減らすことをいいます。
ライン作業の改善を行い、0.5人の工数を削減できた、などと言います。
果たして、本当に効果が出ているのでしょうか?

0.5人の削減とは、実際には1人は抜けないのです。そのため、経営効果は出ません。
さらに、コンベアラインだと、ボトルネック工程以外の工数低減は、効果になりません。
ライン全体の人数が減らない限り、実際の効果を出せないのです。

それに対して、TPSの「少人化」は、大きく意味が異なります。
省の下の目がないので、「目のない少人化」と呼ぶこともあります。
ひと言で言うと、ラインの定員を無くすことを指します。

高度成長時代、ライン作業が飛躍的に発展しました。
どんどん作業を改善を行い、サイクルタイムを短くしていきました。
在職中、改善が進んだ工場で、20人のラインなのにサイクルタイムが6秒を切るコンベアラインがありました。

6秒のサイクルタイムとは、材料を取り損なっただけでバランスが10%程度も変動する、ライン作業としては究極の速さだと思います。
もちろん、20人の定員制のラインで、19人にも21人も出来ません。
作業者の欠勤のため、全ての作業ができるラインリーダーが必ず必要でした。

このスーパーコンベアラインは、多品種少量生産には全く対応できず、21世紀には消えていきました。
この定員制ラインが、時代の変化に対応できなかったのです。
大量から少量にニーズが変わった時に、定員のないラインに変えるべきだったのです。

この定員をなくすことを、TPSでは「少人化」と言うのです。
生産数が多い時は5人で、少なくなったら3人で生産できるということです。
これを実現するのは、非常に大変です。コンベアラインの発想では出来ません。

現状の作業を分析して作業改善を行うレベルでは、全く実現することができないのです。
最初から、例えば「1~5人で生産を行う」ことを目標にして、生産方式を考えないと出来ません。
さらに、一人一人の作業が変わるので、全ての作業者が全ての作業が出来ることが前提になります。

これが「多能工」です。多能工を実現するために、二つの方法があります。
一つは、しっかりした計画に基づいた「多能工教育」を行い、全ての作業ができる多能工を育成する方法です。
もう一つは、作業を簡単にして、誰でも作業が出来るようにすることです。
例えば、作業をワークの脱着だけにして、加工は機械にさせる方法です。

組立での少人化の代表事例が「セル生産ライン」です。
必要数に合わせて作業者数を可変できるラインのことです。
セル生産ラインは、スキルを持った多能工が必要であるため、現在では運用が難しくなっています。

この「少人化」の目的は、作りすぎのムダを出さないことです。
売れるだけの人員で生産を行えるように、ものづくりをフレキシブルにすることです。

タクトタイムと共に、現在のものづくりには、非常に重要な考え方なのです。

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さあ、実践してみよう
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少人化の実現はセル生産ラインなどの開発になりますので、正しい人員であるか確認してみましょう。
厳密な計算は難しいですが、ムダがないかどうかをチェックしてみることが第一歩です。

◇あなたが担当する業務にムダがないかチェックしてみましょう。

・工具などのモノを探すことはありませんか?

・何も持たずに歩行することはありませんか?

・機械の動きや表示パネルを見続ける動作はありませんか?

◇事務所で仕事をされている人は、以下をチェックしてみてください。

・マウスを必要以上に動かしていませんか?

・サーバーやPC内のデータを探すことはありませんか?

・コピーや文房具を取るために、歩行がありませんか?

◇もし、思いあたる点があれば正しい人員でない可能性があります。
 人員を減らすことよりも、その時間で新たな仕事ができないかと考える方が有効です。
 もし、残業をしていたら、少しでも減らせないか考えてみましょう。

さあ、ゆっくり実践してみましょう!

 
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