5S活動から現場活動に発展させるヒント集です

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1人で学ぶ
「5S改善を止めないための15のヒント」 -5S活動の誤解-
8.モデル職場だけでなく全体で進めるのが早道
5S活動をスタートする意思決定は、必ず、経営者か組織責任者が行うべきです。5Sを行う起案は担当者が行っても、経営者や組織責任者が「5S活動を行う」と、組織メンバーの前で宣言することが必須です。5S推進のメンバーを決めた後、5S活動を行う宣言を行うキックオフを、短時間で構わないので実施することが重要です。

いざスタートにあたって悩むのが「モデル職場で進めるのか、会社全体で進めるのか?」ということです。一般的には、モデル職場で進めているのを多く見かけます。それは、次のような理由なのです。
・工場全体をすぐには把握できないため
・モデルラインにパワーを集中すれば、早く改善が進む
・モデルラインで上手くいけば、横展開を行う

もちろん、モデル職場で進めるメリットがあります。それは、以下の点です。
・経営者や経営幹部が注目し、他組織の手伝ってくれ、パワー集中できる
・5S改善のための費用が出る

しかし、モデル職場だけで進めた場合、モデル職場は上手く進むのですが、他の職場に展開した瞬間に停滞することが多いのです。それは、最も難しいのが「横展開(ヨコテン)」だからなのです。なぜ、横展開(ヨコテン)が難しいのでしょうか?
・同じ工程ではないため、同じようにできない
・モデルラインより改善が難しい
・改善案などの情報が共有されていない
・モデルラインのように注目を集めない
・他職場が手伝ってくれない

しかし、それらは言い訳であり、最も大きな理由は「考えて行動する」訓練ができていないためなのです。3章で説明しました「5S改善でもっとも重要なことは、現場のみんなが決めて、みんなで守る」ことが出来ていないためなのです。モデル職場のメンバーは「考えて、守る」ことができるようになるのですが、他のメンバーは見ているだけでは、出来るようになりません。異なった職場では、モデル職場の改善案をまねても上手くいかないことが多いのです。あくまでも、現場に合わせて考えて、実際にやってみないと身につかないものなのです。

そこで、組織全体で進める方が、結果的には5S活動が定着できることが多いのです。残念ながら職場間の温度差が生じるケースが多く、経営幹部はイライラするのですが、この「現場のみんなが決めて、みんなで守る」ことの実践は非常に難しいのです。待てなくて口を出してしまう経営者がおられますが、指示命令になってしまい、職場のメンバーは指示待ちになってしまいます。これでは自発的に進みようがないのです。各職場が成功体験を実感するまで、見守ってあげてください。

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