5S活動から現場活動に発展させるヒント集です

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1人で学ぶ
ものづくり品質を楽に楽しく向上させる方法
【6】QC改善を上手く進めるために
1. 5S活動とは?
「5Sってよく聞くけど、掃除じゃないの?」と、思っていませんか? 片づけとは、何が違うのでしょうか? 分かっているようで、正体を掴みにくいのが、5S活動なのです。一般的な5Sとは、「整理・整頓・清掃・清潔・躾」を指します。筆者は、「整理・清掃・整頓」の3Sを、この順番で進めることを推奨しています。この順番で進めるのがもっとも効率的であり3Sをきっちり進めると、後の2Sである「清潔・しつけ」が出来るようになります。5S活動を行うためには、最初に5Sの定義を正しく理解することが重要です。

「整理」は、「要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てる」ことです。これだけのことなのですが、実際にやってみると、かなり難しいのです。それは、「要らないもの」を判断しなければならないからです。たいていの場合、「要らないもの」が決められないのです。「要るもの」とは、「使うもの」と考えると判断がしやすくなります。

「清掃」は、「いつもピカピカにきれいに保つこと」です。いつ清掃を行うか(毎日、毎週、毎月など)、そして、どこをどのように清掃を行うのかを決めて、しっかり清掃することにより、継続する習慣が身に付きます。

「整頓」は、「必要なものがすぐに取り出すことができ、そして、すぐに元に戻すことができること」です。最適な置き場所を決めて、みんなで守ることが重要です。最初は、「整列」という「ものを直角平行に置く」ステップを行うと、整頓がしやすくなります。

「清潔」は、この3Sをずっと維持すること、「しつけ」は、みんなで決めたことをみんなで守ることです。

5S活動の効果として、現場がスッキリして作業が行いやすくなることは、誰でもイメージできます。単に現場をきれいにするだけではありません。さまざまな効果を出すことができ、この効果を知っておくことが非常に重要です。5Sを進める時に、現場が良くなることをイメージすると、大きなやる気が生まれてくるためです。

5S活動で得られるさまざまな効果として、次の項目があげられます。品質向上にも大きな効果を出すことが可能です。
(1)安全性が高まる
(2)生産性が向上する
(3)品質が安定する
(4)スペースが広がる
(5)見える化が進む
(6)コミュニケーションが良くなる
(7)仕事が楽になる
(8)お客様が褒めてくれる
(9)改善力が向上する
(10)省エネになり地球環境に役立つ

これだけでは、ありません。5S活動を継続することによって、会社そのものを変えることができるのです。5S活動によって、工場をショールームにできた会社もある位です。5S活動によって「人の知恵やパワー」を引き出すことができるのです。

2. 5SからQC活動に展開
5S活動が順調に進んでくると、いつの間にか、現場改善やQC活動に展開していることに気がつくことがあります。最初は、キレイにする、スッキリするという掃除の延長の感覚だったものが、仕事が楽にできるようになると、ムダや品質が気になるようになるからです。これは、工場だけでなく、事務所の業務でも同じです。あなたの周りの職場にも、家の中にも、様々な「ムダ」があります。ムダを役にたつものに変えることが重要なのです。

もう一つのやっかいなものが、「ばらつき」です。不良も、ばらつきが原因で発生するものが大半です。不良発生までしなくても、生産性の足を引っ張るのです。調子よく仕事をしているのに、何か必要なものが手元にないと探しのムダが発生し、ペースが狂ってしまいます。時間をかけて探したのに出てこなかったら、大きくモチベーションも低下します。安定した作業でなければ、良品をつくり続けることが難しいのです。不要なものがたくさんある現場では、傷の発生や異物混入など不良が発生しやすくなります。

作業時間の短縮だけを目標として仕事のスピードアップを行うと、反対にばらつきを発生することがあります。ばらつきなく安定して業務をできるようにすることが、大きな効果を出せるのです。作業を安定して行うためにも、この5S活動が大きな効果を発揮するのです。5S活動では見える化の推進が重要であり、ばらつきの見える化を実践することはQC活動にも効果的なのです。

3. QC活動を継続させるヒント
継続的に5S活動やQC活動を進めると、どんどん現場が変化していきます。一度、改善前の写真を見てみましょう。こんなだったっけと思うことでしょう。必ず、業務も楽になっていると思います。しかし、いきなりQC活動をスタートするのは、難しい場合が多いのです。それはQC手法の学習からスタートするため、どうしても業務の延長になってしまうからです。いくら業務といっても、やらされ感が大きければ、継続することが難しいのです。

筆者は、5Sを切り口とした小集団活動を最初にスタートさせることが有効であると考えています。5S活動であれば、少ない教育で実践でき、すぐに成果を出すことができます。5S活動をどんどん推進することを、自信をもってお勧めできます。それは、5S活動には失敗がないからです。現状の業務を推進しながら、5S活動を行うため、必ず業務に役立つのです。小さな効果が出ると、連鎖的に次の効果が出るものです。一発だけの大きな効果を狙うより、小さな効果の連打の方が、結果的には成果を出せるケースが多いと感じます。

もし5S活動を行って、仕事がやりにくくなったら、それは改善案が悪かっただけです。すぐに、やめれば良いのです。ゼロに戻るだけで、決してマイナスになることはありません。効果のでない改善案を一つ知ることができたと考えるのが良いでしょう。メンバーが集まって、ディスカッションを行えば、いくつもの新しい案がすぐに出てきます。現場には、改善のヒントがたくさんあるものなのです。私の経験では、この程度の教育をOJTで行うことにより、5S活動を軌道にのせることができる会社が大半だと認識しています。

5S活動を継続的に推進することにより、あなたと職場のメンバーの仕事は、確実に仕事が楽になります。すると職場が元気になり、生産性が上がったり、品質も良くなったりします。その時点で、品質の切り口も入れながら小集団活動を展開するのが効果的です。QC部門にも参画してもらい、QC手法の教育を行うのが有効です。5S活動で、メンバーみんなで考えて実行するスタイルができていれば、QC活動への展開は容易なのです。事務局としての運営が可能な会社では、QCサークル活動に展開することにより、さらに効果が出すことができます。

成果が出はじめると、次々にアイデアが出るようになり、どんどん改善が進みます。職場も元気になります。人のパワーというのは、それほど素晴らしいものなのです。職場が元気になると、その結果、会社も儲かるのです。「一人一人が楽になる」ことが、もっとも重要であり、それを目標とすべきです。あなたの周り、あなたの会社、そして、日本の現場から「不良」と「ムダ」を、なくして欲しいと強く願っています。

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