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【9】目で見る管理とは? 
TPSのイメージしにくい言葉の一つに「アンドン」があります。
「アンドン」とは「目で見る管理」の代表で、現場に設置されたラインの状態を示す表示板のことです。
イメージしやすい例では、機械に設置されたシグナルタワーやパトライトのことです。

「目で見る管理」とは、自働化を実現するための、非常に重要な手法の一つです。
機械のトラブル、作業の遅れや誤り、品質の異常などラインの問題をリアルタイムで見えるようにすることです。
問題が発生すればラインを停め、関係者が問題の発生した場所に集まり、大急ぎで復旧を行うのです。

トヨタの工場を見学すると、びっくりする位、大きな表示板が工場の天井からぶらげられています。
表示板には、ラインを示す数字や部外者には分からない記号が、ひしめきあっています。
見ていると、かなりの頻度で点灯するのです。スピーカーから、大きな音声が出る場合もあります。

一大事が発生した感じで、現場のメンバーがテキパキと対応しています。
緊張感ただよう現場なのです。緊迫感を感じます。
この大きな表示板であるアンドンが、全てのラインの指揮を行っている印象です。

「目で見る管理」と似た言葉に、「見える化」があります。
5Sの整頓を実現するときに、誰が見ても位置や品物が分かるように、ラベルなどを活用することです。
静的なイメージが強いのですが、ものづくりの管理を見える化することが「目で見る管理」なのです。

ラインや機械の状態は、アンドンの活用で、ある程度、知ることができます。
生産進捗は、現時点での生産目標に対しての遅れ進みの数量の表示で知ることができます。
しかし、投入または完成数量に限られる場合が多いのです。

各工程の遅れ進みは、どのようにして知ることが出来るでしょうか?
一つの方法は、各工程の在庫量で判断できます。
遅れている工程の前には、仕掛在庫が山のようになっています。

でも、仕掛在庫を置く場所がなくなってしまい、違う場所に移動すると、全くわからなくなります。
仕掛在庫を一時的に置く場所をしっかりと決め、標準の在庫量を決めることにより、遅れ進みが分かるようになります。
チェックする時間を決めて、しっかりと現場の管理者が状態を見て対処できれば、生産遅れの削減が実現できます。

もう一つの方法は、各工程の人員の作業の状態で知ることができます。
現場に行き、各工程の作業を確認して、手待ちがないか調べれば良いのです。
遅れている工程では、絶対に手待ちは発生しないからです。

しかし、この手待ちを実際に見つけることは、なかなか難しいのです。
日本人の特徴で、何もしないのがイヤなのです。
手待ちになると、しなくても良い掃除をしたり、不要な材料を運んだり、何か作業をしてしまうのです。
これが、現場の負荷状態を見えなくしてしまいます。

TPSでは、仕事がない時には「手待ち」をするように指導されているそうです。
私もJITの研修で、「仕事がない時には、マンガを読め」と教えられたことがあります。
マンガは乱暴だとしても、「手待ち」を見える化することは非常に重要です。

手待ちが見えるようになれば、「目で見る管理」が出来ている状態と言えます。
非常に奥深いのが、「目で見る管理」なのです。
     
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