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よくある質問 (Q&A)
◇組立作業の改善
Q:組立作業のムダとは?
A:「組立作業」は、繰り返し、手作業で製品や部品などを組立てることです。
作業台の上で行ったり、コンベアを用いて行う場合があります。
機械で生産するのではなく、手作業中心で行うことを考えていきます。

じっくり見てみると、手作業にも、手の前後の動きや上下の動きがあります。
手だけでは届かない場合は、身体をねじったり、しゃがんでいる動きがあります。
それでも、届かない場合は、歩いていますね。
身体全体を使って、組立作業を行うことが多いのです。

先輩から教えてもらい、毎日、繰り返し行うことで、出来るようになったと思います。
そして、先輩と同じ速さになりましたね。

これが「熟練」つまり「慣れ」であり、とても重要なことです。
この「慣れ」が、ムダな作業を見えなくしてしまいます。参考
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Q:「IE」とは?
A:IEは、「インダストリアルエンジニアリング」の略で、100年あまり前にアメリカでつくられた手法です。
実は、私はこのIEを、会社で教えていました。
エンジニアリング(工学)と呼ばれており学問的な部分もありますが、実践的な現場改善の手法です。

日本では、1960年代から広まり、多くの会社で活用されていました。
私のいた会社でも、IEをかなり使っていたようです。
当時、IEに関する本を出版したり、他の会社の人が勉強に来られるぐらいだったようです。

その当時は、コンベアを用いた大量生産の時代です。
少しでも多くの生産を行うために、IEをフル活用していました。
つまり、作業を行う人のためではなく、会社が儲かるために使っていたのです。
しかし、1980年代より自動化の時代を迎えると、驚くぐらい使われなくなっていました。

1991年バブル崩壊後、多品種少量生産時代になり、自動化とハンド生産が混在するようになりました。
すると、再びIEが使われるようになりました。参考
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Q:手の前後の動きとは?
A:組立作業では、手を前後に動かすのが中心になります。

そこで質問です。
あなたの手は、前後に何cm動きますか?

答えは、約30cmです。
A4サイズの長い方の長さになります。

それでは、もう一つ、質問です。
あなたの手は、30cmの往復動作に何秒かかりますか?

これは、個人差がありますね。
ほぼ1秒です。速く動かせば、0.7秒ぐらいでは動かせると思います。
一日中、動すのであれば、1秒程度でなければ、しんどいでしょう。
この数字が、あなたのスペック(仕様)ですので、覚えておくと便利です。

30cm先にあるものを、15cm手前に移動すると、手の移動時間が半分になります。
距離と異動時間が、ほぼ比例すると考えて下さい。

例えば、30cm先にある部品を、1日1000回取る作業を行っている場合を考えます。
部品の位置を、15cmのところに移動するだけで、0.5秒×1000回=500秒の短縮ができます。
実に、8分あまりの短縮になるのです。
1回1回は、ほんの短い時間ですが、繰り返し行うと、大きなムダになるのです。参考
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Q:しゃがんだり立ち上がったりしています
A:一度、しゃがむ、そして、立ち上がってみましょう。
どのくらい時間がかかりましたか?
約1秒、かかったでしょう。
これを何回も行っていると、とても疲れます。
最悪の場合は、ギックリ腰なんてことにも、なりかねません。

やはり、作業台の上の方や、下の方にあるものは取りにくいです。
疲れるし、時間もかかります。
腕を水平に伸ばした時に、上方向と下方向に45度以内が作業できる範囲になります。

工具や材料は出来る限り、作業台の上に置くのが、近くて楽に取れます。
特によく使う工具や、たくさん使用する材料は、作業台の手前の位置に並べましょう。

しかし、全部は置けないですね。
材料や工具がたくさんある場合は、置き場を2階建てや3階建てにしましょう。
作業台の上に小さな棚を作って、その上に置くと2倍~3倍の種類を置くことができます。
あまり使わないものを、2階や3階に置きます。
小さな棚は、プラスチック・ダンボール(プラダン)を使えば、簡単に出来ます。参考
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Q:指先が痛くなります
A:「指先が痛くなるような作業」です。
例えば、小さな部品を取ったり、細い線を溝に這わせるような作業です。
一日やっていると指先が痛くなるし、小さな部品を取り損なって落とす場合もあります。
ストレスも溜まります。

この場合は、下に5ミリ程度のスポンジを敷いてあげましょう。
取りやすくなり、取り損なうことも少なくなります。

部品どおしが絡むものも、取りにくいのでイライラします。
絡む部品を、部品箱から直接取るのは難しいのです。
一度、広い皿の上に取り出し、絡みをなくしてから取ると、楽に取ることができます。

これも、皿に並べる動作が増えるので、時間がかかりますが、作業は圧倒的に楽になります。
時間より、「楽な作業」を優先すべきです。参考
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Q:作業改善をどのように進めれば良いのか?
A:作業改善のステップは、次になります。

①動画を撮る/時間を測定する
②作業に分けてみましょう
③作業のムダを見つける
④改善と評価を行う
   
ワ―! 大変だと感じた人もいることでしょう。
しかし、あなたが持っているもので、改善を行うことができます。

スマホかデジカメがあれば、大丈夫なのです。
慣れてくれば、何もなくても改善ができるようになります。
工場内でスマホが使えない場合もありますが、デジカメは大丈夫でしょう。参考
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Q:どのように動画を撮れば良いのか?
A:ビデオカメラがあればベストですが、準備が大変ですね。
工場でスマホが使える場合は、スマホで撮れば簡単です。
ダメな場合は、デジカメの動画で撮りましょう。

三脚があれば楽ですが、なければ、棚の上などに置けば大丈夫です。
スマホ用の小さな三脚は、100円ショップでも売っています。
私は、ほとんど棚などに置いて撮っています。

手元が映るようにして、スマホやデジカメを固定します。
歩いて移動する場合もありますが、人が視野から見えなくなっても大丈夫です。
どんな作業を行っているのか、大体、分かれば大丈夫です。
実際に、あなたが作業しているので、小さく映っていても、何を行っているか分かるでしょう。

繰り返している作業を、2~3回分くらい撮影してみましょう。
1回の作業は、1~2分だと思いますので、5分もあれば撮影できます。参考
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Q:時間測定の方法は?
A:時間測定は、「ストップウォッチ」を使って測定します。
今では、スマホのアプリでも簡単に行えます。
しかも、ラップ(途中経過)も取れます。
これは、5000円くらいする競技用の高級ストップウォッチ並みの機能なのです。
ラップ付きはありませんが、標準タイプは100円ショップにも売っています。

撮影した動画を、「時間測定」してみましょう。
まずは、作業のスタート点を見つけます。
スタート点は、作業の1サイクルの終了点でもあります。
作業を終了する点を見つける方が簡単なので、終了点を見つけましょう。

1サイクルの作業を終え、ワークを作業台などに置くところが終了点です。
そこで、ストップウォッチのスタートを押します。
次の終了点で、ストップを押します。
その時間が、ワーク1個の組立作業を行う時間です。
この時間を、「サイクルタイム」といいます。

2~3回の作業を撮影しましたので、2~3回のサイクルタイムを測定してみましょう。
その場合、「ラップ」を使うとを簡単に測定できます。参考
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Q:測定した時間の見方は?
A:測定した数字、つまり時間(秒)を見てみましょう。
3回のサイクルタイムが、だいたい同じような時間になっていれば問題はありません。
しかし、毎回の時間に「バラツキ」があると、ちょっと問題です。

目安として、10%以上のバラツキがあると、何か問題があります。
手待ちが生じた、動作をやり直した、ワークや工具を落としたなど、が考えられます。

もう一度、動画を見て、ムダを探ってみましょう。
「手待ち」だけは難しいですが、それ以外はたいてい原因が分かります。
ムダの原因が分かれば、改善が行えます。

毎回、同じサイクルタイムで作業ができるように工夫しましょう。参考
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Q:作業を分けるとは?
A:具体的な組立作業で、考えてみましょう。
例えば、スマホのような形のものを組み立てる場合を思い浮かべてください。
外側には、表ケースと下ケースの2つのケースがあります。
内側には、部品Aと部品Bの2つの部品を組み立てます。
作業台があり、真ん中に組立治具があります。
合計4つのケースと部品は、組立治具の奥に並んでいます。

①左手で下ケースを取る
②下ケースを組立治具にセットする
③右手で、部品Aを取る
④部品Aを下ケースに組み立てる
⑤右手で、部品Bを取る
⑥部品Bを下ケースに組み立てる
⑦右手で、表ケースを取る
⑧表ケースを下ケースに組み合わせる
⑨完成品を組立治具から取り外す
⑩完成品を完成箱に置く
 
このように作業を分けてみると、10の作業に分けることができます。
それぞれの作業の特徴が、分かりますね。

①③⑤⑦⑩の5つの作業が、取ったり、置いたりする移動になります。
つまり、価値を生まない作業なのです。

実際に価値を生む作業は、④⑥⑧の3つしかありません。
②と⑨は、作業自体は価値がありませんが、品質を確保するために必要な作業になります。参考
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Q:作業のムダをなくすヒントとは?
A:作業を分けた場合の改善のヒントを少し紹介します。

①作業時間の長い作業の中にムダも多く潜んでいます。
作業時間の長い作業からムダをなくせば、早く効果的に改善できます。

②毎回の作業時間が違う場合は、全てのサイクルが「最短時間」でできるはずです。
最短時間での動きが、最もスムーズなのです。
毎回、最短時間でできるように工夫してみましょう。

③繰り返し行っている作業は、同じアイデアで一気に改善できます。
例えば、いくつもの部品を取っている場合は、部品棚の位置を近づければ、一気に早くなります。
ドライバーでネジを締める場合、ドライバーの位置や高さを改善すると、ビスの数だけ改善できます。
ネジ締めの場合、ネジ自動供給装置を使うと、圧倒的に早くなります。

④毎回、作業手順の違う場合がありませんか?
これは、重症です。
毎回、手順に迷いが発生しているはずです。
最もスムーズにできる手順で行うようにしてください。参考
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