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「楽々改善ストリート3」 現場改善を楽しむ
2018.4.17 <第15号>

お疲れさまです。現場改善コーチの来嶋です。
あなたの5S改善は、順調でしょうか?
少しでも改善を進めて、楽に楽しくなって欲しいと願っています。

メールマガジン「楽々改善ストリート3」第15号をお届けします。

ほとんど大きな病院に行ったことがなかったので、大きな病院で色々と驚くことがあります。
入院すると患者にバーコードが与えられ、検査のX線写真などは、そのコードでサーバーに管理され、どのPCからも見られるようになっています。
看護師さんは、PCを置いたバッテリー付きの台車を引いて病室に来られ、患者のバーコードを読んでから作業をされています。徹底したポカヨケをされているようです。

ただ配布される資料が、手書きのモノが多いのに反対に驚きます。やはり、手書きは信頼性を感じません。手間もかかるし、無くしたいですね。

「現場改善を楽しむ」の15回目は、TPSの中で、もっとも有効な考え方である「標準作業」についてお伝えします。
標準作業の徹底は、生産性向上だけでなく、品質向上、そして、今から深刻な問題となる人材不足や技能伝承にも、大きな効果を発揮します。
だんだん実現することが難しくなっていきますが、考え方を理解することは重要です。

まずは、TPSの理解からスタートし、すぐに実践できるようにしたいと考えています。
次の手順で進めて下されば、嬉しいです。

(1)「現場改善を楽しむ」を読んで、概要を理解してください。
(2)実践すべき内容を、説明します。1週間で、ゆっくり実践してください。
(3)悩むことが発生したら、下記のメールアドレスにご連絡ください。ヒントをお送りします。

進めていく中での「悩んだこと」はじめ、ご意見・ご提案をお待ちしています。

※HPからご登録頂いた方、名刺やメールを頂きました方に発信させて頂いています。

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誰にも聞けない「トヨタ生産方式」
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<14章>標準作業とは?

TPSの中で、もっとも有効な考え方が「標準作業」です。
5S改善を行う時にも、この標準作業を決めておかないと、堂々巡りになってしまうことがあります。
標準作業とは、タクトタイム、作業順序、標準手持ちの3つを決めることです。

「タクトタイム」とは、製品1個を、何分何秒でつくらなければならないかを示し、お客様が決める数字です。
タクトタイムに対して、実際に生産している速さを「サイクルタイム」と呼びます。
タクトタイム=サイクルタイムが理想ですが、若干の余裕がどうしても必要になるため、サイクルタイムの方が少し短く設定されているケースが多いでしょう。

「作業順序」は、作業を行う手順のことです。
右手と左手が、それぞれどんな動作を行うのかはっきりさせ、個々の動作を○.○秒で行うのかを決めます。
目視検査は、目の軌跡や目を動かすスピードも決める必要があります。
誰が行っても、同じ手順で同じ時間で、出来るように決めるのです。

「標準手持ち」は、TPS独自の用語で、工程内の仕掛品のことです。
手待ちではありません。「てもち」と読みます。
工程のどこに何個までの仕掛品を置いて良いのか決めるのです。
標準手持ちが、決められた数量よりも多くなっていると、生産に異常があると判断します。

この3つを、TPSでは「標準作業組合せ票」「標準作業票」「作業要領書」に分かりやすくまとめます。
それぞれ、TPS独特のフォーマットになっているので、わざわざこれらをを使わなくても構いません。
すでに、使っているフォーマットがあると思うので、3つの内容が分かるように追記すれば良いのです。

いざ作成しようとすると、手順や作業時間がはっきり決まっていないことに気が付くでしょう。
その際は、もっとも標準的な作業者に作業を行ってもらい、動作まで分解して分析を行い標準作業を決めてください。
ビデオやデジカメ、スマホで動画を撮影して、分析するのが簡単です。
ベテランに作業をしてもらっても構いませんが、かなり厳しい標準作業になってしまいます。

まずは、標準作業を決めることが重要で、標準がはっきりすると、その標準に対して改善を行うことができます。
そのため、最初に決める標準作業は、現状の作業で構いません。
TPSでは、現状を明確にすることを「おもて(表)化する」といいます。

その現状である「おもて(表)」を「標(準)」にした上で、その標準作業を守って生産を行います。
しばらくすると、標準作業の中にもムダな動作があることが分かってきます。
そこで再度、おもて化を行ってムダな動作をはっきりさせ、作業改善によりムダをなくします。
そのムダのない作業を、新しい標準作業にするのです。

このようにTPSでは標準作業を決めても、標準の中にもムダがないか調べ、ムダをなくす改善を行います。
標準作業もどんどん改善を行い、ムダのない新しい標準作業を決めるのです。
標準作業は一度設定したら変えてはいけないものではなく、TPSでは変わらないのが悪であると考えられています。

標準作業をしっかり決めて生産を行いながら、常に改善を行い標準作業の改訂を行うことが重要なのです。

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さあ、実践してみよう
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標準作業とは、手順や作業時間をはっきり決めることです。毎日行う繰り返し作業では、決めやすいと思います。
オフィスの仕事は多岐にわたるので難しいかも知れませんが、特に繰り返して行う仕事だけを対象にすると良いでしょう。

◇現状の「標準作業」が決められているか、調べてみましょう。

・作業の手順が書かれたものがありますか?
 組立作業であれば、右手と左手に分けて決められていますか?

・それぞれの作業の標準時間が決まっていますか? また、標準時間の定義が決まっていますか?
 標準時間とはベテランの作業者が行う時間を指します。

◇作業の手順と標準時間を決めてみましょう。

・繰り返し行う代表的な作業を選びましょう。

・右手と左手に分けて作業手順を決めてみましょう。
 あまり細かく分けるとわかりにくくなるので、1作業を数秒程度にすると分けやすいと思います。

・標準時間を決めるのは、決めた手順通りベテランに作業を行ってもらい、時間測定を行います。
 新人には厳しい時間になりますが、目標として訓練を行いましょう。

◇オフィスの仕事では、繰り返し行う仕事について考えてみましょう。

・コピー作業、ファイリング作業などシンプルな作業が良いでしょう。
 できるだけ短時間でできる作業手順を見つけてみましょう。

さあ、ゆっくり実践してみましょう!

 
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