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「楽々改善ストリート3」 現場改善を楽しむ
2018.2.13 <第6号>

お疲れさまです。現場改善コーチの来嶋です。
あなたの5S改善は、順調でしょうか?
少しでも改善を進めて、楽に楽しくなって欲しいと願っています。

メールマガジン「楽々改善ストリート3」第6号をお届けします。

今年1月より、とある地域で8社で一緒に5S活動を行っています。
毎月1回、持ち回りで担当の会社に集まり、みんなで改善点を見つけて、出来る改善はその場で行ってしまいます。
製造業は1社だけで、サービス業の会社中心に参加されています。
先週、2回目の実践会を行いましたが、かなり盛り上がりました。
もし、ご興味があればお問合せください。

「現場改善を楽しむ」の6回目は、トヨタ生産方式の特徴的な「タクトタイム」についてお伝えします。
一般的にタクトというと、生産設備の1サイクルの時間を指しますが、トヨタでは全く違った意味です。
そのまま実現することは難しいですが、考え方を理解することは重要です。

まずは、TPSの理解からはじめますが、実際に実践できるようにしていきたいと思っています。
次の手順で進めて下されば、嬉しいです。

(1)「現場改善を楽しむ」を読んで、概要を理解してください。
(2)実践すべき内容を、説明します。1週間で、ゆっくり実践してください。
(3)悩むことが発生したら、下記のメールアドレスにご連絡ください。ヒントをお送りします。

進めていく中での「悩んだこと」はじめ、ご意見・ご提案をお待ちしています。

※HPからご登録頂いた方、名刺やメールを頂きました方に発信させて頂いています。

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誰にも聞けない「トヨタ生産方式」
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<5章>タクトタイムとは?

TPSで分かりにくい用語の一つが「タクトタイム」だと思います。
どうしても、サイクルタイムをイメージしますが全く違います。
サイクルタイムは、IE用語で「1回の作業に要する時間」のことです。

また「タクト」も、違うのです。
マシンタクトのことを意味することが多く、「機械の1サイクルの時間」のことです。
タクトタイムはTPS独自の重要な考え方です。

TPSでのタクトタイムは、「製品1個をこれだけの時間で生産すればよい」という時間なのです。
「製品が売れる時間で生産を行う」という考え方です。
つまり、生産の速さを決めるのは、お客さんということなのです。

タクトタイムをしっかり守れば、絶対につくりすぎのムダは発生しません。
「7つのムダ」の第1項にある「つくりすぎのムダ」を実現するための方法です。
この製品1個が売れる時間は、1日の「必要数」から算出します。
「売れ方に合わせたものづくり」を徹底しているのです。

日本は戦後に高度成長の時代があり、つくれば売れることを経験しています。
そのため、まとめ生産がもっとも効率が良いと信じているのです。
低成長の多品種少量時代を迎えても、その成功体験を忘れられない工場を多く見かけます。

高額の高速設備を導入し、品種切替を何回も行いながら生産しているケースです。
安い小型専用機の多台同時生産の方が、多品種少量生産には効率が良いのですが、「まとめ生産高効率神話」から抜けきれないのでしょう。
しかし、トヨタはいち早く「売れた数=必要数」という概念をつくり、厳格に運用しているのです。

タクトタイムは、1日の必要数を生産可能時間で割った架空の数字です。
生産ラインのスピードは、このタクトタイムで決めています。
現場改善も、タクトタイムに対して行うので、タクトタイムより能力のある工程は改善を行わないのです。

自動車は、オプションを充実させ、ほぼ受注生産が出来るため、売れ方がかなりの精度で分かります。
そのため、タクトタイムの計算が行えますが、売れ方が見える業種は少ないと感じます。
そのため、なかなかタクトタイムの計算を簡単には出来ないのです。

しかし、予測であっても売れる数量にこだわりを持ち、その売れる数量で生産のスピードを決めることが重要だと考えます。
現在は製品在庫が山積みであったとしても、減少させることが可能です。
売れ方に合わす生産を考えれば、海外で生産することは極めて困難であることが明確です。
海外生産は生産工数は安く出来ますが、大量の製品在庫、物流のための在庫、不良品、不移動在庫化を覚悟すべきです。

これからの変種変量の時代、このタクトタイムの必要数の考え方が、ますます重要なると考えます。

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さあ、実践してみよう
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タクトタイムは、トヨタ自動車が長年にわたり「つくりすぎのムダ」を削減するための手法であると言えます。
厳密な計算は難しいですが、できる限り必要な品種と量の生産を行うことが重要です。

◇あなたが担当する製品のタクトタイムを計算してみましょう。

・一日の稼働可能時間を計算しましょう
 勤務時間から、休憩時間、ミーティング時間、メンテナンス時間などを引いた時間で、分単位で書いてください。

・一日で生産すべき必要数を計算してください
 交替制の場合は、一勤務の時間でも構いません。

・稼働可能時間/必要数(分)がタクトタイムです。
 タクトタイムで生産できているか確認してみましょう。
 たぶん、タクトタイムより短い時間で生産されている場合が多いでしょう。つまり、生産過剰になります。

◇なぜ、生産過剰の状態になっているのか考えてみましょう。
 設備故障、材料切れ、人員不足などのための余裕が要因であることが多いと思います。

◇事務所の仕事では、タクトタイムの計算はできません。
 しかし「今日一日の間に、これだけの業務をしなければならない」という考え方は同じです。
 そのためのツールとしては、To-Doリストの活用が効果的であると思います。
 私も在職中、使っていましたが、項目を細分化しすぎない、毎日書き直す、ことが成功のポイントであると感じました。

さあ、ゆっくり実践してみましょう!

 
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