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5S改善を元気に進める「心に響く言葉」楽々改善ストリート5
第30話 革新は無限である

今はなきジット経営研究所の平野裕之氏の言葉です。
私が、はじめて現場改善を学んだ師匠で、もっとも尊敬する人物です。
この教えは、平野裕之氏がまとめられた「改革の基本精神十箇条」の最後のものです。

改革の基本精神十箇条は、「つくり方の固定観念を捨てよ」からはじまり、「革新は無限である」でしめられています。
活動する時には、「50点でよい、すぐやれ」のように、スピードが重要だと教えられています。

革新とは、5S活動や現場改善を指します。
改善案は無限にあるのです。
改善案は、会議室にはありません。現場に潜んでいます。

現場を回り、困っていることを何とかしたいと考えれば、必ず浮かんできます。
浮かんできたアイデアを、お金をかけずに実現すれば良いのです。
最初から、すごい改善案を思いつく必要はありません。
少しでも、仕事がやりやすくなれば成功です。

改善を行って仕事がやりにくくなったら、元に戻せば良いのです。
そして、違うアイデアを考えましょう。
必ず、仕事が楽になる改善案があります。

繰り返し行っているうちに、どんどんレベルがあがります。
これが「革新は無限である」ということです。
改善にはネタ切れはありません。

継続的に楽しく改善を行って欲しいと、切に望んでいます。
現場に潜むムダを価値に変えて欲しいのです。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第29話 衆知を集める

パナソニック創業者の松下幸之助翁の言葉です。
実際には、「衆知を集めた全員経営」と言っておられます。

松下幸之助翁は、人の意見に耳を傾け、「衆知を集めた全員経営」に優る経営はないと考えていました。
それまで多くの取引先を見てきた経験から、「発展している会社のほとんどの社長は、衆知を集めている」という事実より判断されたそうです。

そのため、松下幸之助翁は、人の話を実によく聞き、たくさんの質問をしました。
机の上の物をすべてどけて、身を乗り出して、まさに全身全霊で聞くといった聞き方であったと聞いたことがあります。
話す方も、ついつい話すつもりのなかった本音までしゃべってしまうことがあったそうです。

5S活動や現場改善を行う時も、衆知を集めることが非常に重要です。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあるように、みんなが意見を出し合うと、とても良いアイデアが出るのです。

5S活動や現場改善の第一歩として、通り診断を行うことをお勧めしています。
通り診断とは、5人程度で現場を回り、現場の良いところと改善点(良くない点)を見つけ、ディスカッションにより共有する活動です。
工場でも事務所でも行えますが、毎日、見ている場所の問題点はなかなか出ないものです。

みんなで現場をじっくり見て、ディスカッションを行うことにより、だんだん現場のムダや問題点が見えてきます。
他の人の気づいた点を聞くことにより、自分の視野も広がります。
しして、出された多くの問題点から重要な項目だけに絞り込み、改善案のイラストをみんなで分担して描きます。
イラストを描くのは、イメージ化するためです。

ここまで出来ればしめたもので、あとはイラスト化された改善案を、一つずつ実施すればよいのです。
5人で行うのであれば、5つ程度の改善案は出せるので、5つの改善を実施すると、現場をどんどん変えることができます。
まさに、衆知を集める改善活動です。
一度、チャレンジして欲しいと思います。

しかし、現状では、経営において「衆知を集める」ことではなく、全く反対方向に進んでいるように感じます。
一部の経営陣に権力が集中したために起こってしまった不祥事が後を絶たないのは、極めて残念です。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第28話 シリョーは資料でなければいけない

「資料をつくったつもりが資料にならず、紙量とか死量をつくることが多い。シリョーは資料でなければいけない」

トヨタ生産方式(TPS)の生みの親であるトヨタ自動車の大野耐一氏の言葉です。

とても耳の痛い話です。私も在職中、資料ではなく死量を作っていたと反省しました。
資料とは、活用されてはじめて資料と呼べるのです。
使われない資料は、ゴミになるだけです。

活用されているかという観点で、一度、身の回りの資料を見直してください。
法定で保管が義務付けされているもの以外で、どれだけ活用されている資料がありますか?
コンピュータで見る方が早いので、わざわざ紙の資料は見ないのではありませんか?

コンピュータの中にあるデータの印刷をお金をかけて行い、空間を占有してファイルに資料を保管しているのです。
そして、1回も見ることがないうちに、お金を出して廃棄していませんか?
それらのロスを合計すると、いったいどれぐらいあるのでしょうか?

5S活動や現場改善では、活動報告を求められることが多いと思います。
改善前と改善後の写真を貼り付け、BAチャートとして、たくさんの説明を加えます。
たいたい、月次で作成しているのではないでしょうか?

報告会では資料があったほうが便利かも知れませんが、報告会の後、誰がそれを見るのでしょうか?
改善の確認だけなら、現場で現物を確認する方が分かりやすいと思います。

来月になると、改善後の姿が、改善前となり、新たな改善の形が描かれます。
改善前とは、どのタイミングを指すのでしょうか?

毎月、このBAチャートを作成して、報告会を行わないと継続できないと信じている人が多いようです。
特に、現場改善を行ったことのない管理監督者に多いようです。

しかし、私はBAチャートが、改善の障害になると考えています。
いったん、改善後として作成すると完結した感じになり、変えるのがおっくうになるものです。
どんどん変化するのだから、改善のポイントが分かれば良いのです。
改善前の図や説明をまとめるのは、5S改善のムダであると私は考えています。

即刻、改善前の項目はなくし、改善した姿だけをまとめるようにしたいものです。
報告会もやめて、情報交換会とすべきです。
どうしても報告会ではチェックが入り、いやいや報告することになるからです。

5S改善を継続できるモチベーションが、どこにあるのか真剣に考えて欲しいものです。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第27話 現存する仕事は間違っている

ドラッカーの言葉です。
ドラッカー名言集「仕事の哲学」には、次のようにまとめられています。

「現存する仕事はすべて正しい仕事であり、何がしかの貢献をしているはずであるとの先入観は危険である。現存する仕事はすべて間違った仕事であり、組み立て直すか、少なくとも方向づけを変えなければならないと考えるべきである。」

非常に厳しいお話しです。しかし、正しいです。今の時代に重要なことなのです。
トヨタ自動車の7つのムダにも、「作業そのもののムダ」という項目があり、通じるところがあります。

毎日、行っている仕事は正しいと考えたいのが人情です。
最初は、目的もはっきりしており効率的だった仕事も、だんだんムダがはびこってくるようになります。
トヨタでは、作業そのものにもムダがあると考え、設計を変更してでも、そのムダを無くそうとしているのです。

特に、ルーチンワークと呼ばれる、毎日、行っている仕事は要注意です。
ムダがはびこる程度であればましな方で、ひょっとしたら、その仕事全てが全て役に立っていない場合もあるのです。

一度、全ての仕事をゼロクリアーして、本当に必要な仕事だけにすることが重要です。
日本は、高度成長期、そして、バブル期に、景気の拡大と共に、仕事の幅が大きく拡大しました。
景気が後退しても、その仕事の項目は減っていないのです。

さらに過度の品質第一のため、不良発生と共に、検査などの新たな仕事が増えているのです。
不良発生時の一時的な検査が、いつのまにか恒久的な検査になってしまい、どんどん検査項目が増えていませんか?

人材不足だと嘆く前に、価値のない仕事をしないようにすることが重要です。
私が提唱している、ムダを価値に変える活動です。
今すぐスタートしなければ、激動の令和の時代で、会社全体が消えていく運命になることは確実です。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第26話 令和の5S活動を進める

私が提唱している言葉です。
5S活動は、昭和の時代に生まれた活動です。
現場の不要なものをなくし、仕事をしやすくする活動です。

5S活動はトヨタ自動車などの大企業で生まれたと言われています。
大企業は人材が豊富なので、5S活動や現場改善の専任部隊で進められていました。
専任部隊なので色々な研究や工夫を行い、優れた多くの手法を生み出したのです。

今、書店に行くと5S活動の本が並んでいますが、その手法が書かれているものが大半です。
優れた手法なのですが、専任部隊が持てない中小企業では、大きな負担となり上手く進められないことが多かったのです。

そこで、平成の時代になり経営者が独自の5S活動を推進されるようになりました。
しかし、大きな変化の時代に変貌していくにつれて、経営者が極めて忙しくなり、5S活動が消えていきました。

ほんの一部の経営者の会社だけで、5S活動が継続できたのです。
今でも、工場見学を有料で行っている素晴らしい5S活動をされている会社が、わずかにあります。
大半の経営者はコンサルタントに5S活動を任せましたが、コンサルタントによる指導が終わると、徐々に5S活動が下火になってしまったのです。

そこで、私の提唱する「令和の5S活動」が必要なのです。
5S活動の主人公を現場のメンバーとする活動ですが、なかなか現場のメンバーが推進できるようになるのは時間がかかります。
でも、現場メンバー自らが考えて実践できないと、今からの時代は乗り切れないと考えています。
どのように進めていけば良いのか、令和の時代に、じっくりと考え実践していきたいと思っています。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第25話 自分の強みはわかりにくい

ドラッカーの言葉です。
ドラッカーは難解なので、私はドラッカー名言集「仕事の哲学」を読んでいます。

「誰もが、自分の強みはよくわかっていると思う。しかし、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである」(「明日を支配するもの」より)

研修生と一緒に現場を回り、現場の評価を行うと、良くない点ばかりが多く上がってきます。
「良い点はないの?」と、問いかけても、なかなか出て来ないのです。

自分の会社や現場の強みを知ることは、非常に重要です。
ドラッカーは、同書でこのようにまとめています。

「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。
弱みによって何かを行うことはできない。」(「明日を支配するもの」より)

私も、全く同感です。
弱みを強みに変えるには、莫大なエネルギーと時間がかかります。
でも、強みをさらに強くすることは、簡単に実現できるのです。
すでに強いので、少しパワーを投入すると、さらに強くできるのです。
情報も知識もノウハウもあるため、様々な応用もできます。

その強みが見えないほど、もったいないことはありません。
見識を広げ、他の会社や現場を見学することが、とても役に立ちます。
自分の会社や現場を客観的に見ることができるようになるからです。

しっかり見学するためには、評価する切り口を身につけておく必要があります。
切り口が定まらないまま見学すると、見物になってしまいます。

5S活動から現場改善を行い、現場をしっかりと見る訓練が重要なのです。
すると、はっきりと強みが見えてきます。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第24話 近江商人のありがとう

近江商人の言葉です。
近江商人とは、近江国(現在の滋賀県)に本宅(本店、本家)を置き、他国へ行商して歩いた商人の総称で、大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人のひとつだそうです。

「近江商人のありがとう」とは、次の5つを言うそうです。改善活動にも重要なことだと思います。

1.感謝「ありがとう」の心と実践。
2.明るく・元氣で・素直。正直、プラス思考。
3.チャレンジ精神旺盛で、進取の気質。
4.朝早くから夜遅くまで「きばる」努力と勤勉。
5.常に先を見つめ、情報を仕入れる先見性。

近江商人の経営哲学のひとつとして「三方よし」が広く知られています。
「三方よし」とは、「売り手によし、買い手によし、世間によし」を示します。
「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方です。

この「ありがとう」は、「三方よし」よりもさらに具体的で、重要なことを教えられている印象を受けました。
2つ目の明るく・元気で、3つ目のチャレンジ精神、5つ目の先見性に、大きく心が動きました。

5S活動や現場改善を行う際にも、極めて大切な言葉だと思います。
改善は、明るく元気で行って欲しいのです。
常に、チャレンジ精神と先見性を持って欲しいものです。

そして、うまくいったら「ありがとう」ですね。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第23話:動きを働きにする

トヨタ生産方式(TPS)の生みの親であるトヨタ自動車の大野耐一氏の言葉です。
大野語録には、「よく動いても、働いたことにはならない。働くとは工程が進み、仕事が出来上がることで、ムダが少なく効率の高いことである。」と教えられています。

一日、工場の中を歩き回り、汗だくになって重いものをせっせと移動します。
夕方には足腰は痛くなり、「今日も一日、良く働いた」と感じますが、本当に歩き回るのが役にたったのでしょうか?
汗だくになることが必要だったのでしょうか?

一日の作業の中で、本当に役にたったのは、何だったのでしょうか?
「役に立つ」とは「お客様がお金を払ってくださる」と考えると分かりやすいです。

歩き回っても、お客様は喜んでくれません。自分の健康のためにはなりますが…
汗だくになっても、お客様には関係がありません。

歩き回る、移動、汗だくになるのは、残念ながらムダな作業だったのです。
日本では昔から、汗だくになるほど頑張って働くことが美徳だとされてきました。
そのために、ムダに対して関心がなかったように感じます。

日本では急速に人が少なくなっており、そんな状態を続けていると、とんでもないことになります。
会社であれば、注文を頂いても、供給できない状態になります。そして黒字倒産…

今こそ、動きを働きにすることが重要です。
ムダを取るのではありません。
今までムダなことを行っていたと思うと、がっかりしてしまうからです。

「ムダを価値に変える」と考えて欲しいのです。
例えば、今まで歩いていたのを、レイアウトを改善して歩行を少なくします。
すると、歩いていた時間で、じっくりと作業が行え、再確認ができるようになります。
速く作業をするのではなく、じっくりと丁寧に作業を行い、すぐにチェックを行うのです。

ムダな作業をしている暇はないのです。
人口が減っても、日本人である自分たちに必要なものは、国内で供給したいものです。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第22話: 一日休養、一日教養

パナソニック創業者の松下幸之助翁の言葉です。
週休二日制が、1965年に松下幸之助翁の号令のもと、松下電器産業(現パナソニック)でスタートする際、「週休二日制は単に休みを2日にするものではない」と、多くの反対派を押し切ったそうです。
それが、「一日休養、一日教養」なのです。

1965年は「いざなぎ景気」がはじまり、車・カラーテレビ・クーラーの3Cを国民が買い求め、作れば作るだけモノが売れた時代です。
当時としては、画期的なことだったと思います。
社員の自主的な学びと成長を重んじ、社会が驚く「働き方改革」を実現したのです。
私も、入社時にこの話しを聞き、感動したことを思い出します。

今の時代でも、非常に重要だと痛感します。
終身雇用が怪しくなってきている今、会社や組織が助けてくれないからです。
景気が悪くなると、真っ先に、出張、残業、そして、研修が削減されます。
やはり、自分で目標をもって勉強し続けることが重要なのです。
単に勉強と言わず、教養と言われていることも、深い考えがあったものだと想像します。

勉強には2通りあると思っています。
一つは、セミナーや書籍で先人のスキルや考え方を学ぶこと
もう一つは、自分でしっかり考えて理にかなった考えや手法を見出すこと
こちらが教養だと思います。

特に、5S活動や現場改善では、自分で考えることがとても重要です。
会社で5Sを行う前に、休日に自宅や自室の身の回りの5Sを行うのが良いと思います。
机の引き出しの整理や三定は、すぐに行うことができます。
さらに、使いやすいように改善を継続的に行うことも可能です。

すると、会社で5S活動を行う時には、率先してできるようになります。
是非、一日教養として、身の回りの5Sや改善を行って欲しいのです。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第21話:長所を見ることに七の力を用いる

パナソニック創業者の松下幸之助翁の商売心得帖の一文です。
「長所を見ることに七の力を用い、欠点を見ることに三の力を用いるのが、大体当を得ているものと思われます」と続きます。
これは、「長所を見つつ」という人材育成の考え方を述べた部分です。

現場を見る際も、私は全く同じだと思います。
現場を回ると、どうしても良くない部分に目がいきます。
研修でメンバーと一緒に回りまとめを行うと、良くない項目ばかりが出てきます。
思わず「もっと良いところはないの?」と聞いてしまいます。

問題意識を持っていることは良いのですが、やはり良い部分を見つけることも重要です。
現場の良い部分、つまり、会社としての強みの部分です。
毎日見ているためか、スゴイことをやっているのに認識していないのは、実にもったいないことです。
たぶん、他の現場を見る機会が少ないため、そのスゴサに気がつかないのかも知れません。

強くなるためには、2つの方法があります。
弱い部分を強くするか、強い部分をさらに強くするかです。
学校教育が平均点で評価する傾向にあるためか、どうしても弱い部分を強くしようとしがちです。
苦手教科を勉強するのは楽しくないです。でも、得意教科の勉強は苦にならないはずです。
強みをしっかり認識した上で、強い部分をさらに強くすれば、弱い部分も自然と良くなっていきます。

商売という荒波の中で勝つためには、突出した強さが重要だと思います。
その強い部分をしっかり認識していないと、さらに強くする活動が散漫になってしまいます。
ものづくりであれば、固有技術の強みが重要です。
さらに、固有技術の強みを発揮するための管理技術である5Sや改善力が重要になります。

管理技術の強さは現場に現れます。
現場の強さを知り、さらに現場を強くするために、どうすべきか考え行動することが重要です。
まず、あなたの現場の強みを、しっかりと認識して欲しいのです。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第20話:儲けるとは信者と書く。信者を増やせ

ジット経営研究所の平野裕之氏の著書「新IE宣言!」のひと言です。
私が20年以上前に、平野氏のセミナーで聞いて、とても納得した言葉です。

信者はちょっと宗教的なので、私はファンを増やすように改善活動を進めてきました。
どこまで出来たかは評価が難しいところですが、現場で困った時に相談してくれるメンバーが、少数ながらできました。
もちろん、儲かるのは工場ですが、ファンが多くできた工場は経営が良化したのは事実です。

しっかり改善を進めると、現場が元気になります。
人のパワーはすごいもので、現場が元気になると、生産性も品質も向上します。
現場のメンバーが考えて改善ができるようになると、継続して進めることができるようになり、どんどん改善レベルが向上していきます。
これで、経営が良化しない工場はないと言えます。

私はポリシーとして、現場改善コーチのスタイルを続けています。
コンサルタントが改善案を教えるのに対して、コーチは答えを言いません。
現場メンバーに考えてもらい、改善案を引き出すようにします。

時間はかかりますが、このようにしないと絶対に継続できません。
まずは、現場メンバーの手を引き、動き出すと背中を押すようにします。
もう少し進みだすと、背中を押すのをやめます。
「止まったら、また押す」を繰り返しているうちに、自分でどんどん進むようになるのです。

社内でも、5S活動や現場改善のファンづくりの活動を進めて欲しいと思っています。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第19話:現状分析からムダを感じる心をつくる

ジット経営研究所の平野裕之氏の著書「新IE宣言!」のひと言です。
「ムダを感じる修練」が重要であると訴えています。

従来のIE(インダストリアルエンジニアリング)は、現状分析をしっかり行い、その結果から問題点を把握し、知恵を出して改善案を考えるという流れでした。
現状分析では、作業分析を行うために何度も時間測定を行います。
時間測定は、かなりの経験がないとできない手法です。

しかし、変種変量生産では時間測定を行っている間に、品種切替が発生してしまい、なかなか完結して測定することすらできないのです。
そこで、現場でムダを感じることが重要であると、平野氏は主張されているのです。

いざ現場に行って作業を見ても、さっぱりムダが見えないということがありませんか?
毎日、見ている作業なので仕方がないとも思えます。
慣れや熟練がムダを見つけることを邪魔しているのです。

ムダを見つけるためには、次のステップを進めれば、必ず見つかります。
(1) その作業は、何なのか?
(2) その作業は、なぜ行っているのか?
を整理した上で、「動作経済の原則」を用いてムダを見つけるのが楽です

動作経済の原則とは、次の4つの原則でした。
原則1)両手を同時に使う
原則2)動作の数を減らす
原則3)距離を短くする
原則4)動作を楽にする

今では、簡単に動画が撮影できるので、動画で判断する方法がお勧めです。
作業が分かるように、スマホやデジカメを固定します。
まずは、10分程度、自分の作業を撮影してみましょう。

自分の作業を自分で見ると、たくさんのムダが発見できます。
例えば、何も作業をしていない「手待ち」が見られるでしょう。
映像から姿が消える「歩行」が発生します。
映像から姿が消えると、とても長く感じるものです。
腕を遠くに伸ばす、身体をよじる、しゃがむなどの作業が見られると、すぐに改善できます。

さらに、ワークや工具の落下があると、置き方に問題があるのです。
同じ作業を2回行う、つまり手直しが発生していれば、作業そのものに問題があります。

自分の作業を見るのは照れ臭いですが、客観的に見ることによりムダがとても見えやすくなります。
一度チャレンジして、じゃんじゃんムダを見つけてください。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第18話:製品の売り上げが伸びている時、在庫は神様である

ジット経営研究所の平野裕之氏の著書「新IE宣言!」のひと言です。
なので「在庫を持ちましょう」という話しではありません。
このように続きます。

ところが、いったん売り上げが鈍化しだすと、在庫は悪魔に変身する。
特に経営陣にとって、資金難は地獄で出会ったエンマ大王。
在庫は一変して「悪」となる。
こんなことから在庫は「必要悪」などと訳のわからない言い方をされる。

思わず吹き出すようなことが書かれています。
本当にその通りです。

材料の手配を忘れた、機械が故障した、突然大きな注文が来た…
こんな時に、在庫があって助かったことを経験されているのではないでしょうか?
助かった記憶はなかなか忘れにくいので、また在庫してしまうのです。
そのありがたいはずの在庫が売れなくなって処分した経験があっても…

しかし、トヨタ自動車はスゴイです。
戦後、トラックの大きな在庫で会社がつぶれそうになった経験から、今でも「在庫のムダ」を最重要だと考えています。
在庫をつくらないためにジャストイン生産を確立し、改善しながら運用しています。
つまり、見込みでは生産しない、そして、部品も発注しないことを厳しく徹底しているのです。

在庫を「悪」だと考える必要はないと思いますが、「在庫は全てのムダを覆い隠してしまう」という問題があることは理解すべきです。
ムダが見えないと改善することができません。
「在庫があったから助かった」と、呑気なことを言っている時代ではないのです。

これだけ、大きな変化の時代です。
今回の変化は対応できても、どんどん新しい変化が押し寄せてきます。
その変化に対応できるだけの力を養う必要があります。
その対応力をつけるもっとも楽な方法が改善なのです。

在庫を減らすために改善を行うのではなく、一人ひとりの仕事をやりやすくすることが目的です。
仕事が楽になれば、必ず生産性があがり、その結果、在庫も少なくできるのです。
さらに、経営も良化方向になるのは、間違いないでしょう。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第17話:工場は標準化にはじまり標準化に終わる

ジット経営研究所の平野裕之氏の著書「新IE宣言!」のひと言です。
「工場は」と言われていますが、「会社は」でも、「仕事は」と置き換えても、十分に通用すると思います。
IE(インダストリアルエンジニアリング)は、標準化がもっとも重要であると、私も考えています。

さらに平野氏は、「整頓とは標準化なり」とも、言われています。
5S活動での標準化とは、誰でもひと目でわかる、誰でもすぐに使える、誰でもすぐに戻せる状態を指しています。
つまり、現場改善でも5S活動でも、標準化がもっとも重要であると力説されているのです。

私がサポートしている5S改善の活動でも、まずは5S活動で標準化のトレーニングを行い、現場改善で作業の標準化を行って、ムダを価値に変えることを行っているのです。
5S活動では、「みんなで決めて、みんなで守る」ことが重要なのです。

日本では、人口がどんどん少なくなっていきます。
もちろん、ロボットによる自動化や高速化、海外メンバーの採用も重要です。
しかし、現状のメンバー全員が、多くの仕事を出来るようになれば、かなり効率はアップします。
作業を早く行うのではなく、誰もが確実にムダのない手順でできることが大きな効率を実現できるのです。

それでも、やがて人が不足する時代が来るでしょう。
作業の標準化ができていれば、海外などの幅広い人材に早く仕事を任すことが可能です。
いえ、標準化できていないと、反対に、海外メンバーは今のメンバーの重荷になるかも知れません。

AIやIOTの活用による生産性向上も必要ですが、まずは一つひとつの仕事の標準化が極めて重要であると考えています。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第16話:分析のIEから感性のIEへ

ジット経営研究所の平野裕之氏の著書「新IE宣言!」のひと言です。
IE(インダストリアルエンジニアリング)を、これからどのように活用すべきか、ひと言で表した言葉だと思います。

IE改善は、まずは現状分析から行うという固定観念があります。
もちろん、現状分析は必要なのですが、時間測定を行わず、感性でムダを見つけるということです。
時間分析を行わなくても、発見できるムダはたくさんあるのです。

特に、バブル景気を経験された現場には、今でもびっくりするくらいムダが潜んでいるのを見かけることが多くあります。
例えば、ムダなものが現場に多くあるために歩行が発生し、誰も見ないチェックシートに手書きでチェックしているのです。
しかし、毎日の風景になってしまうと、ムダには見えなくなってしまいます。
これが、「慣れ」の怖さです。

5S活動をスタートし、赤札作戦を行っている場合ではありません。
使わないものが山のようにあるので、すぐに現場から撤去しなければ、何も進みません。
広い現場を、わざわざ狭く使っているのです。
しかも、その原因は使うことのない過去の遺産なので、実にもったいないことです。
過去の遺産と、使えない現場と、どちらがもったいないか考えれば、すぐに判断できることです。

このように聞くと当たり前だと誰でも思いますが、実際にそうなっている現場がたくさんあるのです。
赤札を貼る時間があれば、その手で使わないものを現場から撤去してしまえば良いのです。
今すぐ、実践することが重要です。

大きな変化に耐えられるのは、大きな恐竜ではなく、小さな動物達です。
「感性のIE」で現場のぜい肉であるムダを価値に変えることが重要です。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第15話:なんといっても「動作経済の原則」が基本

ジット経営研究所の平野裕之氏の著書「新IE宣言!」のひと言です。

動作経済の原則とは、IE(インダストリアルエンジニアリング)の手法の一つで、次の4つの原則が代表的です。
原則1)両手を同時に使う
原則2)動作の数を減らす
原則3)距離を短くする
原則4)動作を楽にする 

IEは、時間研究と動作分析の手法が中心に構成されています。
作業を時間をかけてしっかりと分析した後で、改善案を立案するように教えられています。
しかし、前回に書いたように、どんどん現場の状態は変化します。
「新IE宣言!」には、「その結果を集計してムダを見つけて、うんぬんするより、現場に10分でも20分でも立って、ムダを見つけ、その場で改善する方が、はるかに実践的である」と書かれています。

私も、全くその通りだと思います。
分析している間に、改善ができてしまうのです。
そこで、重要になるのが「動作経済の原則」です。
この4つの切り口で作業をチェックし、出来そうな点を実践するのです。

動作経済の原則の考え方を少し説明します。
(1) 動作の数を減らす:足を使って手の動作を減らす、動作の順を変えて動作を減らす
(2) 両手は同時に使う:同時に作業を始め同時に終る、両手動作は対称かつ反対方向
(3) 移動距離の短縮:材料、工具類は手の届く範囲に置く、歩行⇒胴⇒腕⇒肘⇒手首⇒指
(4) 動作を楽にする:できるだけ慣性や重力を利用する、ジグザグより自然な動作経路が良い

是非、この切り口で、現場の作業をチェックしてみてください。
必ず、ムダが見つかり、改善につながります。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第14話:新IE宣言

今はなきジット経営研究所の平野裕之氏の言葉です。
「新IE宣言!」は1991年に出版された本のタイトルですが、この時代に、平野氏はすでにIE(インダストリアルエンジニアリング)の限界を見抜いておられました。
まえがきより、引用します。

「もうだいぶん前のことになる。
組立ラインでの作業バランスがあまりにも悪いので、ラインバランシングをした。
ストップウォッチを片手に、各作業者の作業時間を計る。
ラインの半分くらいまで図っただろうか、それまで流れていた製品が終わり、次の製品が流れはじめた。
それではと新しく流れはじめた製品の作業時間を計り、記録する。
1時間もしないうちに、その製品も終わってしまった。
すべての記録は、また役立たずに終わった。」

つまり、IEの手法が、うまく活用できなくなったと言われています。
平野裕之氏は、私がはじめて現場改善を学んだ師匠で、そのセミナー(道場と呼ばれていました)で、この本を頂きました。
当時も読んだのですが、私はピンとこなかったようです。
バブル崩壊の頃に、解決策までまとめられていたのには、本当に驚きです。

再び読むと、まさに今、役に立つ考え方なのです。
考えてみると、日本は「失われた20年、いや、30年」で進化していなかったのが原因です。
ロボットやPC、IOTなどの道具は進化しましたが、モノづくりのやり方・管理手法はあまり進化していると言えません。

オールドIEに対して、この新IEが、まさに今、必要なのだと感じました。
今後、どうのように実現すれば現場の役に立つのか、真剣に考えたいと思っています。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第13話:自分で考え、自分でやってみて、工夫しながらうまくいって、褒められる

実は、これは私の言葉です。私の基本理念なのです。
モチベーションを高めるために、もっとも重要だと考えていることです。
実際に、私が実施してみて、大きな手ごたえを感じたからです。

在職中、国内・海外の12工場で現場改善のサポートを行いました。
毎週、工場に出張して、工場のメンバーと一緒に現場改善を推進しました。
一つの工場の現場改善には、短くても1年、長いテーマだと4年以上、継続したテーマもありました。

最初は、私が考えた改善案を現場の人に実施してもらっていました。
私が行っているうちは上手く進むのですが、行かなくなると元に戻ってしまうことが多かったのです。
後から考えると、やらされ感の強い現場改善になっていたのです。

誰でも、一方的に言われたことだけを行うのは嫌です。私もイヤです。
そこで、最初は改善案を言わないで、現場のメンバーに考えてもらうことにしました。
すると色々な意見が飛び出し、上手く進むと思われる改善案を引き出すことができれば、必ず成果を出すことが分かりました。

思い出すのは、インドネシアやメキシコの工場です。
現場では、ほとんど英語も通じないので、現場リーダーを中心に考えてもらって、改善を行ったのです。
すると成果がではじめ、私がラインに行って、手ぶり身ぶりで良くなったことを褒めると、ニコッと笑顔になってくれました。
自分で考えて上手くいくことは、万国共通で嬉しいものなのだと感じたのです。
特に、この2か国の工場では、現場で笑顔が見られることが皆無でしたので、私もとても嬉しかったのを思い出しました。

私が、5S活動や現場改善はコンサルではなく、コーチで進めなければ上手くいかないと考えているのは、この経験に基づいているのです。
5S活動や現場改善は、現場で頑張ってくれている人のモチベーションを高める活動なのです。
人のやる気が、もっとも重要であり、かつ、神聖なものであると考えています。

メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第12話:生産革命抵抗の10項目

今はなきジット経営研究所の平野裕之氏の言葉です。
私が、はじめて現場改善を学んだ師匠です。

改革に抵抗はつきものだと教えてくださいました。
この「JIT生産革命抵抗の10項目」は、私にとって衝撃的なものでした。

(1)そんなものは役立たない!
(2)確かにそうだが、我々は違う!
(3)案としては立派だが...
(4)これ以上、コストは下がらない!
(5)我々だって、いつもそうしているよ!
(6)他人の勧めでやるのはイヤだ!
(7)コストを下げれば、品質は落ちる!
(8)うまくいっているではないか? なんで変えるのか?
(9)そんなものはダメだ! 我々は20年前にやったことがある
(10)我々は、そのことについて一番よく知っている

これが、何十年も前にまとめられている訳なので、昔も今も変わらないなと感心します。
反対に、変わらないので、真面目に聞く必要はありません。
変に議論をして敵にするよりは、何も協力してもらわない方が良いと考えています。
だいたい、こんなことを言うのは年配者ですから、「先輩のお手を煩わさなくても…」と言っておけば良いと思います。

まずは、5S活動や現場改善を進めることが重要です。
進め方について、悩んでいるのは大きなムダなのです。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第11話:寝てもさめても

「アイデアを生むと言っても、口先だけでは生まれない。
これもやはり熱心であること。
寝てもさめても一事に没頭するほどの熱心さから、思いもかけぬ、よき知恵が授かる。」

パナソニック創業者の松下幸之助翁の言葉です。
松下幸之助翁は多くの家電製品を世の中に送り出しています。
ずっと寝ても覚めても考えておられたのでしょう。

改善を推進していると、どうしてもアイデアが出ない時があります。
そんな時、気がつけば、ずっとアイデアを考えているのです。

そして、歩いているときや、風呂に入っている時に、ふと、良いアイデアが浮かぶことがあります。
私は、特に歩いている時に、良いアイデアが浮かぶことが多いです。

私は、30分ぐらいウォーキングをしていると、血行が良くなるのか、どんどんアイデアが浮かびます。
そのまま歩き続けると忘れてしまうので、立ち止まってアイデアをメモします。

何か自分に合ったアイデアを考える方法を、身につけることが重要だと思います。
一生の宝物になります。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第10話:50点でよい、すぐやれ

今はなきジット経営研究所の平野裕之氏の言葉です。
私が、はじめて現場改善を学んだ師匠です。

全文は「パーフェクトを求めるな、50点でよい、すぐやれ」です。
50点は満足な点ではありません。
しかし、平野会長はやってみる方が重要であると教えています。

私も、全く同感です。
見切り発車はいけませんが、もっと良くないのは、「あーだ、こーだ」と言ってやらないことです。
やってみると、まずい点も分かるし、こうすれば上手くいきそうだという感触が得られます。
出来る限り、お金をかけないで行えば、軌道修正は簡単です。
どんどん、考えた改善案を行ってみることが重要です。

この教えは、平野会長がまとめられた「改革の基本精神十箇条」の中の一つです。
改革はまず、ふるい体質における固定観念を捨てることから始めることが重要です。
そこで一度、心を白紙に戻し、"意識改革"を行う。その導入ポイントとなる教えです。

「改革の基本精神十箇条」

(1)つくり方の固定観念を捨てよ
(2)できない理由より、やる方法を考えよ
(3)いい訳をするな、まず現状を否定せよ
(4)パーフェクトを求めるな、50点でよい、すぐやれ
(5)誤りはすぐ直せ
(6)改革に金をかけるな
(7)困らなければ「チエ」が出ない
(8)「なぜ」5回、真因を追求せよ
(9)一人の「知識」より10人の「チエ」を
(10)革新は無限である

出典:ジット経営研究所 平野裕之著 新IE入門シリーズ2

私の現場改善のベースとなっている考え方で、常に実践しているつもりです。
是非、実践してみてください。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第9話:柳のようにしなやかに

一般的には「葦のようにしなやかに、木のように堅くなるな」であり、イスラエルのことわざの一節だそうです。

この生き方をされたのが、バルト三国のひとつ、リトアニアの杉原千畝大使でした。
1940(昭和15)年、本国政府の禁止に反して、保身よりも人命救助が大事であると判断し、国外に逃げる人々にビザを発給し続けた方です。
戦後、帰国した杉原氏は職を失うことになりますが、発給したビザにより大勢の命を救ったのです。

日本のことわざで言えば「柔よく剛を制す」が近いと思います。
まさに杉原千畝氏の生き方そのもので、「しなやかな強さ」を持った方だったのです。

実は、レベルは大きく違いますが、「柳のようにしなやかに」と感じたことがありました。
20年前に、私が現場改善をはじめた頃のことです。

現場をあまり見ない上司から色々と指示を受けるのですが、進めていくうちに、それらを実施すると現場のメンバーの仕事がやりにくくなることが分かりました。
上司の言いつけ通り進めて自分の出世を取るか、現場のメンバーの仕事がやりやすくなることを取るべきか悩んだのです。

かなり迷いましたが、現場を優先すべきだと考えました。
幸いにも上司があまり現場に行かないので、報告内容でつじつまを合わせることにしました。
それでも、たまには上司が現場に行くので、嘘がバレてしまい、しっかり叱られましたが…
当時の仲間とは、「柳作戦」と称して活動していたのを懐かしく思い出します。

はっきり覚えていますが、私にとって、現場改善は実に辛いものでした。
その経験より、どのようにすれば、少しでも改善を楽に楽しく進められるのか、ずっと考えています。

業務の主体でない改善活動は、下手をすると負荷を増やしてしまいます。
楽に楽しく進めないと、現場改善を継続することはできないと断言できるのです。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第8話:改善を楽しむ

1.改善は、つらく、つまらないものではなく、本来楽しいものであり、楽しく実施しなければならない。
2.改善が楽しくなると、改善が自然に継続し、創造性が発揮され、改善の密度が高くなる。
3.改善を楽しむポイントは、自分自身が楽しむこと、改善を楽しむ風土を作ること、職場中心の改善にすることである。

これは、えちぜん改善実践舎の越前代表の著作「現場を元気にする 楽しい改善7ステップ」の一文です。
私にとっては、衝撃的でした。当時は社内の工場の改善のサポートをしていましたので、改善はとても辛いものでした。

現場にお願いしても、やってくれない…
改善ができても、しばらくすると、元に戻ってしまう…

こんなことの連続でした。楽しむどころの状態ではなかったのです。

退職後、どうしてうまく進まなかったのか、分かりました。
現場に私の改善を押し付けていたのです。つまり、やらされ感の大きな進め方をしていたのです。
これでは、進むはずがありません。

今では、楽に楽しく、ムダを役にたつものに変える改善を行っています。
必ず、笑い声が生まれる5S活動や現場改善を進めています。
どんどん職場が変わっていきます。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第7話:難しいのは劣後順位の決定

「誰にとっても優先順位の決定は難しくない。難しいのは劣後順位の決定。つまり、なすべきでないことの決定である。一度延期したものを復活させることは、いかにそれが望ましく見えても失敗というべきである。このことが劣後順位の決定をためらわせる。」(「創造する経営者」より)

ドラッカーの言葉です。
ドラッカーは「もしドラ」(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)がヒットしましたが、現代経営学の基礎を作った人物です。
多くの書籍を残していますが、いずれも難解で、私はドラッカー名言集「仕事の哲学」を読んでいます。

優先順位は誰でもできますが、劣後順位、つまり、やめることを決めることは、非常に難しいものです。
これは、5S活動の「整理」を行えば、すぐに体験できます。
「捨てるものが決められない」これが、劣後順位の決定が難しいということです。

まだ、5S活動であれば、弊害は小さいです。
仕事の中にも、たくさんの役に立たない仕事が残っています。
それを、「お客様のため」とか「仕事がもらえなくなる」と、まるで神様のような高尚なことを言って、大切に残しているのです。
下手をすると、何のために行っているか誰も分からない仕事もあります。

これだけ、世の中が急速に変化しているのです。
本当に価値のある仕事だけを少ないメンバーで誰でもできるようにしなければ、生き残れないことは誰でも分かることです。

5S活動で捨てること、つまり、劣後順位の決定をトレーニングして、少しでも早く、仕事の劣後順位を決めることが極めて重要です。
日本も欧米並みのサービスで、十分ではないでしょうか?
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第6話:改善とは変えることなり

「改善とは良くなることじゃ無い。結果として良くなるか悪くなるか、そんなことはやってみんと分からん。議論なんか何時間しとったって答えなんか出ん。悪くなったら、何が悪かったんだろうと考えて、また変えれば良いじゃ無いか。改善とは変えることなり、だ。上手くいったら、それにこだわって変えようとせん。それではだめだ。また上手い結果が出なかったからといって元に戻すのは一番つまらん。大切なのは変えるということなんだ」

トヨタ生産方式(TPS)の生みの親であるトヨタ自動車の大野耐一氏の言葉です。

とにかく、変えることが重要であると、いつも語られていたそうです。
今でも、トヨタでは「朝令暮改でも遅い」と言われていると聞きます。
当時、大野氏は「朝令昼改でも遅い」とも言っておられそうです。

「朝令暮改」とは、良い言葉ではありません。
朝に命令を出して夕方それを変えることで、あてにならないことを指します。
しかし、大野氏は変化に対応することが、もっとも重要であると教えられたのです。
やってみて良くなかったら、すぐに、次の案を実施してみなさいということです。

さらに、大野氏は次のようにも言っておられます。
「改善した今が一番悪いと思え」

改善をすれば終わりではないのです。
次の改善のスタートなのです。

どんどん、現状を変化させていきたいものです。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第5話:一生勉強一生青春

一生勉強と一生青春は、一枚の紙の裏表のようなもの。

「年をとって困ることは、身体が固くなるばかりでなくて、
 頭が固くなること、心が固くなることです。
 心が固くなると、感動、感激がなくなります。
 一生青春を保つためには、心のやわらかさを保つこと。
 そのためには、具体的に何かに打ち込んでいくことだと思います。」
生前しばしばそう語っていた相田みつをは、
まさに一生勉強一生青春の言葉通りに生きた人間でした。
繰り返し書き続けた、この書に込められた思いを探ります。

※相田みつを美術館ホームページより引用しました。

東京有楽町の近くに、相田みつを美術館があります。
東京に行った時に、時々、訪問します。
相田みつを氏の生きざまに、大いに尊敬できるのです。

相田みつを氏の書斎は書き損じの紙で埋まっていたそうです。
たくさん書いて一点だけ選び、残りは全て燃やします。
お手本がなかったから、自分の道が正しいかいつも検証していました。
絶えず勉強していなければ自分の進むべき道がわからないという強い思いがあったからです。

相田みつをは、楷書も草書も巧みに書け、書展に何度も入選し将来を期待されていました。
しかし、どんなにうまく書いても、技術だけでは感心はしてもらえるが、感動はしてもらえない。
そこで、それまでの実績をすべて捨てて、自分の書のスタイルを工夫されました。
当然、世間からは受け入れられなく、貧乏のどん底の生活だったそうです。

でも、拾う神あり、地元の蕎麦屋などの地元商店から包装紙デザインの注文でギリギリの生活を送られました。
初詩集「にんげんだもの」がミリオンセラーとなって相田ブームが起きたのは、60歳の時でした。

年をとっても、心と精神は常に柔らかく若々しくありたい。
自分の進む道が正しいか、絶えず勉強しながら生きてきた相田みつを氏の座右の銘が、「一生勉強一生青春」なのです。

実は、私の机の前にも飾っています。
いつも、若々しい心と精神でありたいと、5S改善を行っています。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第4話:燃えに燃えろ

今はなきジット経営研究所の平野裕之氏の言葉です。
実は、私がはじめて現場改善を学んだ師匠です。

この言葉は、「新IE宣言!」という本に書かれている「管理者九つの条件:九去れ縁」の一つです。
一部分を紹介します。

一、 情熱 燃えに燃えろ
 燃えつきたら静かに去れ!

二、個性 安易に人のマネをするな
 信念ある管理ができなければ去れ!

三、 行動力 まず行動せよ
 ぐずぐず悩んで行動できなければ去れ!

平野氏は、5S活動や現場改善には、情熱が重要であると言われています。
その通りだと感じます。平野氏も力強く実践されていました。
しかも、すぐに熱くなる情熱ではなく、しぶとく成しとげる情熱が重要です。
失敗しても失敗要因の一つが発見できたと考え、前向きに行動する情熱です。

「燃えつきたら静かに去れ」は、今の時代に非常に重要だと感じます。
雇用延長の制度により、会社の中に燃えつきた人が、いかに多いことか…
実は、私も前職では頭打ちになり、定年の3年前に静かに去りました。
後から考えると遅いぐらいでした。少しでも早く、私のポジションを若い人に渡すべきでした。

「新IE宣言!」は1991年に出版された本ですが、この時代に、平野氏はすでにIEの限界を見抜いておられたのも、すごいことです。
私も、IE(インダストリアルエンジニアリング)の考え方が、現在の企業活動に少しでも活用できないか考えながら実践活動をサポートしています。

それから、前号の「青春」は、この本で紹介されているのを思い出しました。
平野氏は「人を企業に置き換えて考えてみると、企業の青春とは何かが分かるはずだ」と述べられていました。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第3話:青春

無名の作詞家サミュエル・ウルマン(アメリカ)の詩「青春」を紹介します。
在職中の研修で知り、こういう人生を送りたいと思いました。
少し長く難解ですが全文を掲載します。

青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心
安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる
歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ
苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の
如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か
曰く「驚異えの愛慕心」空にひらめく星晨、その輝きにも似たる
事物や思想の対する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く
求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。

人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大そして
偉力と霊感を受ける限り、人の若さは失われない
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽い
つくし、皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ
人は全くに老いて神の憐れみを乞う他はなくなる

原作 サミュエル・ウルマン  訳詞 岡田義夫

青春とは単に年齢が若いことをいうのではなく、心の持ち方であるといわれています。
私も、その通りだと思います。
何事も信念がないと実現しないものです。
ずっと思い続けていると、いつか、必ず実現できるものです。

5S改善でも、全く同じです。
経験がないからできない、とか、知識がないからうまくいかないとこぼす人がいます。
本当にそうでしょうか?
5Sや改善には、ノウハウがありますが、全て先人が考えたものです。
時間はかかっても、自分で考えれば、必ず、答えが見つかるのです。
何をしたいのか、理想の状態はどんな姿のかをしっかりイメージして、考え行動すると、必ず実現します。
信じて実践してください。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第2話:ものをつくるまえに人をつくる

今回も、パナソニック創業者の松下幸之助翁の言葉です。
人の育て方、活かし方について、これほど、明快な言葉はないと思います。

「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」
と、まだ創業間もないころから、ことあるごとに、従業員に話しをされたそうです。
まだ、松下電器(現在のパナソニック)が中小企業、いえ、ベンチャー企業だった頃からのようです。

「事業は人なりという。人間として成長しない人をもつ事業は成功するものではない。事業にはまず人材の育成が肝要だ」
松下幸之助翁は、常々そんなことを考えていたそうです。
つまり、資本や技術、設備がいくら充実していても、人材が育っていなければ、事業は成り立つものではないということなのです。

その思いを実現するために、創業からそれほど経過していない時期に、店員養成所、そして、工員養成所を開設しています。
その後、それらの養成所は、松下電器工学院や商学院に発展しています。
今でも商学院は継続され、工学院は大規模な研修センターに展開されています。

松下幸之助翁が考える人材の育成とは、たんに技術力のある社員、営業力のある社員を育成すればよいというものではなく、自分が携わっている仕事の意義、社会に貢献するという会社の使命をよく自覚し、自主性と責任感旺盛な人材を育成すること、いわば産業人、社会人としての自覚をもった人間を育てることが、松下幸之助翁が目指した真の意味での人材育成であったそうです。

私も、長らく人材育成に携わっているので、この言葉は心に染み入ります。
5S活動や現場改善という管理技術を活用できる人材を、少しでも増やしたいと考えています。

急激に業務が忙しくなることがあります。
反対に、景気が悪化することもあります。
そんな時に人材育成にブレーキをかけると、数年後に大きなしっぺ返しが来ることを、再認識することが最重要なのです。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
 
第1話:雨が降れば傘をさす

パナソニック創業者の松下幸之助翁の言葉です。
誰でも、雨が降れば傘をさします。誰も疑わない、極めて普通の状態を指します。

丁稚奉公から身を起こし、一代で天下のパナソニックを築いた松下幸之助翁は「当たり前のことを当たり前にコツコツする」というのが信条だったそうです。

「雨」とは「不慮の悪い出来事」、「降ったら」とは「実際に起ったら」、「傘をさす」とは、「対策を行なう」と読むと分かりやすいと思います。

降れば傘をさすような、こうしたごく当たり前のことを着実に実践していくところに発展の秘訣があるのです。
会社経営はじめ、5S活動や現場改善でも同じだと思います。

でも、この普通のことができていないことが多くあるのです。
例えば、使いたいものを出したいのに、見つからない。
ある作業をするために、遠くまで歩いて工具や部品を取りに行く。
これらのムダが放置したために経営が傾いているのに、何も対策を行わない…

こんなことがないでしょうか?
周りを見渡せば、必ず見つかるでしょう。
どうして、そんな状態が発生するのでしょうか?
それな、慣れや熟練がムダを見えないようにしているのです。

さらに、悪い出来事(雨)が予想される時には、あらかじめ対策(傘)を用意することが重要です。
予想するためには、過去の失敗経験が役に立つと思います。
失敗しても、くよくよするのはムダです。
どんどん新たなチャレンジを行い、大きな成果をつかんで欲しいのです。

しっかりと現状の課題を見つけ、それを課題にまで分析し、適切な早い改善が必要なのです。
一度、周りを見渡して、雨が降っていれば傘をさしてみてください。

ただ、海外のサポートをするようになって、この言葉は海外で通用しないことが分かりました。
シンガポールでの体験です。
ポツリポツリと雨が降り出すと、歩いていた人は、一瞬で屋根のあるところに避難します。
その瞬間、バケツをひっくり返したような雨が降り出しました。
そして、ものの20分で青空になり、人々は何もなかったように歩きだしました。
シンガポールでは誰も、傘を持っていませんでした。
シンガポールで、この話しをしても、全く理解してもらえないでしょう。
メールマガジン「楽々改善ストリート5」より
5S活動 現場改善をはじめましょう
     
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