5S活動から現場活動に発展させるヒント集です

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1人で学ぶ
「5S改善を止めないための15のヒント」 -5S活動の誤解-
14.5Sは人材育成。最も良い人材育成は教えること
自分の能力を高めるもっとも良い勉強方法は、「人に教える」ことです。自分が理解していないと、人に教えることは出来ません。勉強しはじめた人の、素朴な質問にも答えることができません。教えることを通して、良いコミュニケーションになります。

日本が高度成長時代に技術・技能力を飛躍的に向上させた教育の一つの形態が「OJT」でした。OJTは、職場の先輩が後輩に仕事の中で仕事のやり方を教えることです。教えることにより、先輩も後輩も、どんどん能力を高めていったのです。私は海外ではOJTを見たことがありません。自分の仕事を同僚や後輩に教えることはしないのです。ただ、中国の工場で、専門の教育部門をつくって、OFF-JTですが技術技能教育を行っているのを見たことがあります。中国人が中国人を教えているのです。まだ、多くはないと思いますが、私は脅威に感じました。

OJTの本家本元である日本では、現在、OJTが急速になくなっていっています。固有技術についてのOJTは、まだ残っているように感じますが、5S改善のような管理技術はほとんど見られなくなりました。本来のOJTは無理だとしても、社員が社員を教えることを復活させたいと、私はかねてから考えています。

在職中、少しですが実現できた事例があります。教育を受けた現場のメンバーが、IE教育を行っていました。私の勤務する会社には、「IEトレーナー」という社内資格がありました。かなり難しい試験なのですが、合格者がIE教育を行っていたのです。退職する前の10年間は、このIEトレーナーの育成を行っていました。本社の研修センターの試験に合格すれば、すぐに指導ができるものではありません。ほとんどが現場メンバーなので、教育専門の人は一人もいないのです。指導教材をつくり、少しずつ指導することを経験することにより、全カリキュラムを指導できるようにサポートしました。工場に数名のIEトレーナーができると上手く協力し合って、私の手を必要とせずしっかりと、IE教育を行ってくれるようになりました。「社員が社員を教える」ということが実現できていたのです。工場間に多少の温度差がありましたが、社内ではIE人口がどんどん増えていったのです。IE人口が増加できた工場では、IE改善を上手く進めるようになったのです。

この展開には、IEではなく5S改善の教育が最適だと考えています。私のような外部の現場改善コーチが指導するのも悪くはないのですが、どうしても時間的な限界があります。社内の5Sリーダーが、その周りのメンバーに5Sの進め方などを教えるのが理想です。朝のミーティングなどで、そのメンバーに短時間でワンポイントレッスンするのです。毎週1回行っても3か月もあれば、一通りの5Sの理解は可能です。どんどん、5S改善人口を増やして欲しいと願っています。

さらに、5S改善の指導者を育成することが重要です。5Sが進んでいる会社に共通して言えることは、他社を指導できるレベルの優れた5S指導者が必ず居ることです。指導者の育成は、1社だけでは難しいかも知れません。数社が集まって、数社で数名の5S改善の指導者を育成することは可能です。5S教育の重要性と有効性を、再認識して欲しいと願っています。

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