5S活動から現場活動に発展させるヒント集です

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1人で学ぶ
「5S改善を止めないための15のヒント」 -5S活動の誤解-
5.整理から清掃の順番が楽に進められます
5S活動はトヨタ自動車が「4S」と整理して進めたのが最初のようです。そこに「しつけ」が入り「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5Sになりました。トヨタ自動車は、「整理整頓」や「三定(さんてい)」を強調されました。三定とは、「定位置・定品・定量」の置く位置を決めること、つまり、整頓です。そのため、整頓が重要であると考えられ、「5S三定」とも言われます。

「整理整頓」というので、整理から整頓の順番で進めるものだと信じている5S推進者が多いのです。中には整理を行わずに、整頓だけを実施しているケースも見られます。「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」と一般的に言われるので、この順番で行うものだと考えるのは仕方ないと思います。

しかし、この順番を間違えると、うまく進まないことが多いのです。まず、清掃からだと主張する人もおられるでしょう。間違いではありませんが、ものがたくさんある状態では、清掃は楽ではありません。やはり、最初は「整理」でものを少なくすることが効率的なのです。

「整理」とは、要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てることです。整理を行えば、確実にものが少なくなります。よく「トラック何台分を捨てた」という報告を聞きます。ものが少なくなると、ものの位置を決めて置きたくなります。でも、整理を行った状態で、一度、現場を見て下さい。ものが置かれていた下から、ゴミや汚れがいっぱい出て来ます。

次は「清掃」が良いのです。整理を行うと、隠れていた工具などがたくさん出て来ます。たいてい、ドロドロに汚れています。隠れていたところを、ピカピカになるまで、清掃することが重要です。ピカピカになれば、「整頓」でものを置くのも気持ちよくできます。作業台も床もキレイになっているので、ラベルやテープを貼るのも簡単です。つまり、「整理」⇒「清掃」⇒「整頓」の順番で行うのが、最も楽にできるのです。

「整理・清掃・整頓・清潔・しつけ」の順番が良いことは分かりましたが、整頓の後で「清潔」⇒「しつけ」と進めるものだと思っていませんか? それでは、うまく進まないのです。「整理・清掃・整頓」の3Sと、「清潔・しつけ」の2Sは、かなり性質が異なっています。

5Sでの「清潔」は、整理・清掃・整頓の3Sをずっと維持することです。5Sでの「しつけ」は、みんなで決めたことをみんなで守ることです。モチベーションを向上させるもっとも良い方法は、「自分で考え、自分でやってみて、工夫しながらうまくいって、褒められる」 というプロセスを経験することです。

そのため、5Sを継続させるためには、3Sと2Sを並行して進めることが重要です。3Sは推進者が実践する内容であり、2Sは5S事務局や経営者が推進する内容であると考えるのが合理的です。3Sを継続的に推進するために、裏方が仕掛けや仕組みを整備することが重要なのです。具体的な実践内容は、10章「5Sの継続には、清潔としつけの仕掛けが重要」で詳しく説明します。

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