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「5S改善を楽しむ」 <5S教室 テキスト>
10.5Sから「改善」に展開するために
【まとめ】

あなたの周りにも、職場にも、家の中にも、様々な「ムダ」があります。
しかし、ムダは日本の中に埋まっている一つの「資源」であり、ムダを役にたつものに変えることが重要なのです。

その一つにトヨタ生産方式「TPS」があり、「徹底したムダの排除」を70年以上も継続することにより、あれだけの高収益企業になったのです。
TPSには二本柱があり、一つが「ジャストインタイム」で必要なものを必要な時に必要な量だけ作ることです。
もう一つが「自働化」で、異常が発生したら、不良品を作らないためラインを止められるようにすることです。

TPSの基本思想は「徹底したムダの排除」です。
そのため、ムダを徹底的に分析しています。
TPSには非常に多くの手法がありますが、5S改善に必ず役に立つ考え方・手法として、「7つのムダ」、「なぜ5回、真因を追求する」、「目で見る管理」があります。

【1】ムダは役にたつものです

あなたの周りにも、職場にも、家の中にも、様々な「ムダ」があります。
調べてみると、「役に立たないこと。それをしただけのかいがないこと。」と出て来ました。
「ムダ」は良くないのでしょうか?

◆ムダは資源の一つです
「ムダ」は日本の中に埋まっている一つの「資源」だと考えています。
この「ムダ」が、日本の現場に埋もれているのです。
日本独特の産業の発展が影響していると考えており、高度成長時代にたくさんのムダが日本に埋もれたと考えています。
ムダを役にたつものに変えることが重要なのです。

【2】トヨタ生産方式(TPS)とは?

ムダを役にたてる手法の一つに「トヨタ生産方式」があります。
トヨタ自動車が1945年ごろから、ずっと継続して改善を続けている生産方式で、英訳のトヨタ・プロダクション・システムより「TPS」と呼びます。
トヨタ自動車は桁違いの利益を上げる会社ですが、TPSが生まれる前は、大量の売れない在庫を抱え倒産寸前だった時があったそうです。
当時、生産性が8倍と言われたアメリカに追いつくのがTPSの出発点です。
「徹底したムダの排除」を70年以上も継続することにより高収益企業になったのです。
TPSには、ジャストインタイムと自働化の二本柱があります。

◆ジャストインタイムとは?
ジャストインタイムとは、「必要なものを必要な時に必要な量だけ作る」ことです。
しかし、その実現はとても難しいのですが、自社に合った目標に置き換え、少しでも実現に近づけることが重要です。
タイムはデイ(日)と置き換えて考えると実現可能です。
製品によってはウィーク(週)で良いでしょう。
つまり、デイリー生産計画、または、週次生産計画です。
「必要な量」つまり「確実に売れる量」だけ生産することも難しいのですが、在庫削減のために非常に重要な考え方なのです。

◆「にんべん」のついた自働化とは?
自働化とは、トヨタが生み出した単語で、「にんべん」がついているので「にんべん」のついた自働化とも言います。
自動とは異なり、「機械設備の異常や、品質の異常、作業遅れなど何らかの異常が生じたら、機械設備が自ら異常を検知して、自動停止したり、作業者が停止スイッチを押してラインを止められるようにすること」を指します。
自働化のねらいは不良品を作らないことにあります。
つまり「品質は工程でつくり込む」というトヨタの品質の考え方の根幹をなすものです。

【3】トヨタ生産方式の役にたつ手法

TPSの基本思想は「徹底したムダの排除」です。
そのため、ムダを徹底的に分析しています。
TPSには非常に多くの手法がありますが、5S改善に必ず役にたつ考え方・手法を紹介します。

◆「7つのムダ」とは?
(1)つくりすぎのムダ (2)手待ちのムダ (3)運搬のムダ (4)加工そのもののムダ (5)在庫のムダ (6)動作のムダ (7)不良をつくるムダ の7つを指します。
少し解説します。

(1)つくりすぎのムダが最初に来ているのは、TPSでは最も重要なムダだと考えられており、計画のない製品、つまり、注文のないものは生産してはいけないということです。

(4)加工そのもののムダとは、例えばネジを4本締めるように図面に指示があっても、本当に4本が必要か考え、3本で強度が保証できるなら、図面を修正して、この1本のムダをなくすのです。

(5)TPSの「かんばん方式」は基準在庫がベースですが、多くの在庫は広い場所や金利が発生するので良くないのですが、「問題点を隠してしまう」ことがTPSではもっとも良くないと考えます。

◆なぜ5回、真因を追求する
不良や機械のトラブルが発生した時、直感で対策を打ったために、対策に時間を要したがありませんか?
対策が、はずれたのです。
TPSでは問題が発生すると、「なぜ、なぜ、」と5回繰り返して真因を追求し、問題を課題に変えます。
一つの問題に5回のなぜをぶつけるのは、かなり難しいのですが、なぜを5回繰り返せば、ほぼ真の原因が見つかることを経験から知っているのです。

「現場現物」は聞いたことがあるので、問題発生時、現場に行って現物を見るでしょう。
しかし、もっとも重要な「現実」、つまり、問題がなぜ起きたのかという点を見ないことが多いのです。
誰でもまずい点は見たくないものですが、しっかりと、まずい点を見なければ解決できないのです。

目で見る管理とは?(B039)
「目で見る管理」とは、自働化を実現するための、非常に重要な手法の一つです。
機械のトラブル、作業の遅れや誤り、品質の異常などラインの問題をリアルタイムで見えるようにすることです。
問題が発生すればラインを停め、関係者が問題の発生した場所に集まり、大急ぎで対策を行うのです。

「目で見る管理」と似た言葉に、「見える化」があります。
5Sの整頓を実現するときに、誰が見ても位置や品物が分かるように、ラベルなどを活用することです。
5Sの整頓はじめ、5S改善の進捗や成果など、現場の状態を誰にでも「見える化」する(F017)ことが「目で見る管理」なのです。

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