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【14】標準作業とは? 
TPSの中で、もっとも有効な考え方が「標準作業」です。
5S改善を行う時にも、この標準作業を決めておかないと、堂々巡りになってしまうことがあります。
標準作業とは、タクトタイム、作業順序、標準手持ちの3つを決めることです。

「タクトタイム」は、【5】にまとめましたので、参照願います。
製品1個を、何分何秒でつくらなければならないかを示し、お客様が決める数字です。
タクトタイムに対して、実際に生産している速さを「サイクルタイム」と呼びます。
タクトタイム=サイクルタイムが理想ですが、若干の余裕がどうしても必要になるため、サイクルタイムの方が少し短く設定されているケースが多いでしょう。

「作業順序」は、作業を行う手順のことです。
右手と左手が、それぞれどんな動作を行うのかはっきりさせ、個々の動作を○.○秒で行うのかを決めます。
目視検査は、目の軌跡や目を動かすスピードも決める必要があります。
誰が行っても、同じ手順で同じ時間で、出来るように決めるのです。

「標準手持ち」は、TPS独自の用語で、工程内の仕掛品のことです。
手待ちではありません。「てもち」と読みます。
工程のどこに何個までの仕掛品を置いて良いのか決めるのです。
標準手持ちが、決められた数量よりも多くなっていると、生産に異常があると判断します。

この3つを、TPSでは「標準作業組合せ票」「標準作業票」「作業要領書」に分かりやすくまとめます。
それぞれ、TPS独特のフォーマットになっているので、わざわざこれらをを使わなくても構いません。
すでに、使っているフォーマットがあると思うので、3つの内容が分かるように追記すれば良いのです。

いざ作成しようとすると、手順や作業時間がはっきり決まっていないことに気が付くでしょう。
その際は、もっとも標準的な作業者に作業を行ってもらい、動作まで分解して分析を行い標準作業を決めてください。
ビデオやデジカメ、スマホで動画を撮影して、分析するのが簡単です。
ベテランに作業をしてもらっても構いませんが、かなり厳しい標準作業になってしまいます。

まずは、標準作業を決めることが重要で、標準がはっきりすると、その標準に対して改善を行うことができます。
そのため、最初に決める標準作業は、現状の作業で構いません。
TPSでは、現状を明確にすることを「おもて(表)化する」といいます。

その現状である「おもて(表)」を「標(準)」にした上で、その標準作業を守って生産を行います。
しばらくすると、標準作業の中にもムダな動作があることが分かってきます。
そこで再度、おもて化を行ってムダな動作をはっきりさせ、作業改善によりムダをなくします。
そのムダのない作業を、新しい標準作業にするのです。

このようにTPSでは標準作業を決めても、標準の中にもムダがないか調べ、ムダをなくす改善を行います。
標準作業もどんどん改善を行い、ムダのない新しい標準作業を決めるのです。
標準作業は一度設定したら変えてはいけないものではなく、TPSでは変わらないのが悪であると考えられています。

標準作業をしっかり決めて生産を行いながら、常に改善を行い標準作業の改訂を行うことが重要なのです。
     
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