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誰にも聞けない「トヨタ生産方式」現場改善コーチが伝授します
【13】平準化生産とは? 
トヨタの工場をはじめて見学すると、大いにびっくりすることがあります。
コンベアに並んでいる自動車が、白/黒/赤、4ドア/2ドアなどバラバラに流れているのです。
1台1台、使う部品も作業も違うのですが、作業者はテキパキと同じサイクルタイムで作業をしているのです。

これが、TPSの「平準化生産」です。正確にいうと、「品種の平準化」です。
自動車をまとめて何台も一度に買う人はいません。
1つの車種を選び、色を決め、さらに、様々なオプションの中から欲しいものだけ選びます。

つまり、自動車は1台1台、違った仕様のものが売れるのです。
ジャストインタイムの考え方で、売れた自動車を生産しているので、1台1台、違う自動車が並んでいるのです。
同じ自動車でも、他社の軽自動車のラインでは同じ色の同車種がコンベアに並んでいるのを見て、反対に違和感を感じたのを記憶しています。

今では、価値観の多様化は納得できますが、トヨタでは1950年代から、この平準化生産をスタートさせているので驚きです。
まだ、オプションもあまりないし、日本では自動車が少なかった時代なので、まとめ生産で対応できたと思います。
すでに、この時代からトヨタでは「多様化」という表現で、将来の車種の多様化のために、1台を追求した平準化を推進したのです。

TPSの平準化は「1ロット=1台」で実現されているのです。
しかし、この「1個流し」はかなりハードルが高く、無理して実現するのは得策ではありません。
そのため、出来る限りロットを小さくして、1日に多くの品種を生産することは可能です。
それぞれの工場の実力や製品の特性に合った品種の平準化を行うことが非常に重要です。

ロットサイズを小さくできれば、生産リードタイムが短縮され、現場の仕掛在庫を削減できます。
どのように実現するのか検討し、試行錯誤しながら実践していくのは、かなり大変な道のりです。
でも、効果がではじめると、現場の仕掛在庫はかなり減らすことが出来て、スッキリします。
何よりも大きな成果は、現場改善が継続的にできる工場になることだと考えています。

もう一つの平準化があります。こちらの方が実現の難易度は低いです。
それは「生産量の平準化」です。一般的に平準化生産というと、こちらを指していることが多いと思います。
毎日の生産数量を均一化するということです。

生産能力を超す数量を生産する場合は、残業や休日出勤が必要になります。
しかし、毎日、出来るだけ均一に生産する方が生産性が良いことは誰でも知っています。
その実現のために、完成品在庫は一時的に増えるけれど、先行生産を行うのです。

不確定な注文を生産すると後で大変なことになるので、出来るだけ確定に近い注文だけを先行生産するのが良いです。
毎月、ほぼ同じ大きな量の注文が入っている品種や、内示などが出ていて注文待ちの状態の品種などが望ましいです。
適切なロットがなければ、廃棄覚悟で先行生産を行うか、残業や休日出勤で対応すべきか、みなさんで決めれば良いと思います。

トヨタはじめ自動車メーカーは、祝日を出勤日にして、毎週5日間の「生産量の平準化」を行っています。
そのため、交替制勤務ですが、毎週、同じペースの勤務になっています。
あれだけの大きなラインを立ち上げたり、電源を落としたりする訳ですので、週の真ん中に一日だけ休みがあるのは、極めて非効率なのでしょう。

できる限り、残業や休日出勤を不要になるように、前もって準備し「生産量の平準化」を行うことが重要です。
さらに、かなり難しいですが「品種の平準化」のため、生産ロットサイズを最小にすることにもチャレンジしてください。
     
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