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誰にも聞けない「トヨタ生産方式」現場改善コーチが伝授します
【5】タクトタイムとは? 
TPSで分かりにくい用語の一つが「タクトタイム」だと思います。
どうしても、サイクルタイムをイメージしますが全く違います。
サイクルタイムは、IE用語で「1回の作業に要する時間」のことです。

また「タクト」も、違うのです。
マシンタクトのことを意味することが多く、「機械の1サイクルの時間」のことです。
タクトタイムはTPS独自の重要な考え方です。

TPSでのタクトタイムは、「製品1個をこれだけの時間で生産すればよい」という時間なのです。
「製品が売れる時間で生産を行う」という考え方です。
つまり、生産の速さを決めるのは、お客さんということなのです。

タクトタイムをしっかり守れば、絶対につくりすぎのムダは発生しません。
「7つのムダ」の第1項にある「つくりすぎのムダ」を実現するための方法です。
この製品1個が売れる時間は、1日の「必要数」から算出します。
「売れ方に合わせたものづくり」を徹底しているのです。

日本は戦後に高度成長の時代があり、つくれば売れることを経験しています。
そのため、まとめ生産がもっとも効率が良いと信じているのです。
低成長の多品種少量時代を迎えても、その成功体験を忘れられない工場を多く見かけます。

高額の高速設備を導入し、品種切替を何回も行いながら生産しているケースです。
安い小型専用機の多台同時生産の方が、多品種少量生産には効率が良いのですが、「まとめ生産高効率神話」から抜けきれないのでしょう。
しかし、トヨタはいち早く「売れた数=必要数」という概念をつくり、厳格に運用しているのです。

タクトタイムは、1日の必要数を生産可能時間で割った架空の数字です。
生産ラインのスピードは、このタクトタイムで決めています。
現場改善も、タクトタイムに対して行うので、タクトタイムより能力のある工程は改善を行わないのです。

自動車は、オプションを充実させ、ほぼ受注生産が出来るため、売れ方がかなりの精度で分かります。
そのため、タクトタイムの計算が行えますが、売れ方が見える業種は少ないと感じます。
そのため、なかなかタクトタイムの計算を簡単には出来ないのです。

しかし、予測であっても売れる数量にこだわりを持ち、その売れる数量で生産のスピードを決めることが重要だと考えます。
現在は製品在庫が山積みであったとしても、減少させることが可能です。
売れ方に合わす生産を考えれば、海外で生産することは極めて困難であることが明確です。
海外生産は生産工数は安く出来ますが、大量の製品在庫、物流のための在庫、不良品、不移動在庫化を覚悟すべきです。

これからの変種変量の時代、このタクトタイムの必要数の考え方が、ますます重要なると考えます。
     
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