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誰にも聞けない「在庫削減」 現場改善コーチが伝授します
【Q12】材料が多すぎるようですが? 
現場で目立つ在庫のもう一つの在庫が、材料在庫です。
生産現場に置けば近くて良いのですが、場所を取り狭くなってしまいます。
反対に、材料倉庫を生産現場と別にすれば、現場はスッキリするのですが、遠くなり運搬が大変です。
どうするのが、一番良いのでしょうか?

トヨタ生産方式では、「ストア」と「レイゾウコ」という呼び方で分類しています。
材料倉庫がストアで、レイゾウコはラインの近くに置かれた生産が決まった材料在庫のことを言います。
レイゾウコは家にある冷蔵庫と同じで、すぐに食べるものを入れるのです。
長期保存する冷凍庫ではありません。

ちょっと呼び方がユニークなので、レイゾウコを「ラインサイドストア」と呼ぶことにします。
ラインサイドストアは、ラインの近くに設置された材料棚や台車などに置かれています。
似たような材料在庫として、「インラインストア」があります。
セル生産方式などでは、材料を作業台の上などに置き、歩行なしで取れるようにしています。

材料の流れとしては、調達担当がサプライヤーに手配をすると、ストアに材料が入庫します。
生産指示が確定すると、材料担当がストアよりラインサイドストアに運びます。
インラインストアへは、生産メンバーが運ぶ場合と、直接、材料担当が運ぶ場合があります。

ここで、材料在庫がどのようにコントロールされているか考えてみましょう。
ストアは、調達担当のさじ加減で決まります。
サプライヤーからの納期と安全在庫を考えて、材料手配しています。
ちょっと現場では、コントロールができません。

ラインサイドストアとインラインストアは現場でコントロールしています。
材料担当は現場に所属していることが多く、トヨタ生産方式では「水すまし」と呼ばれています。
材料欠品がなく、いかに少ない材料在庫量で運用できるかが、腕の見せ所です。
少しでも材料在庫を少なくするためには、次の方法があります。

①ストアから運搬する回数を多くします。小口多回運搬です。
一度に、多くの品種の材料を運搬しなければ、運搬回数が増えてしまいます。
ストアより、いかに効率よくピッキングするかがポイントです。
「水すまし運行表」などを作成して、運搬に見える化をしている工場があります。

②ランサイドストアを小さくして、インラインストアを大きくします。
理想は、インラインストアだけの運用なのですが、かなり難しいでしょう。
多品番に共用で使用する軽い材料や小さな材料は運搬が楽なので、ラインサイドストアでも良いでしょう。
ライン固有な材料や、大きい、形が複雑な材料は、インラインストアが効率的です。

③一品番に必要な材料一式を準備する「材料のキット化」を行います。
ストアからピッキングする時に、一品番に必要な材料を全て集めて、供給する方法です。
ピッキングには負荷がかかりますが、現場には必要な材料だけになります。
その品番の生産が完了した時に材料が残っていると、工程とばしの可能性があるので、品質保証とリンクさせている工場もあります。
完全に品質保証とリンクするためには、ネジ1本までピッキングする必要があるので、慎重に検討することが重要です。

重要なのは、材料の置き方と管理方法です。
完璧に行おうとすると、かなりの負荷が発生するので、注意が必要です。

実際に実施しながら、バランスの良いところを見出すのが得策です。
 
     
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